研究課題/領域番号 |
24320018
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
岩田 文昭 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00263351)
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研究分担者 |
吉永 進一 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90271600)
谷川 穣 京都大学, 文学研究科, 准教授 (10362401)
岩田 真美 龍谷大学, 文学部, 講師 (90610642)
碧海 寿広 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80710813)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 近代仏教 / 真宗 / 精神分析 / 心理療法 / 三木清 / 宗教法案 |
研究概要 |
本研究は、真宗大谷派の僧侶、近角常観の思想・活動を解明するとともに、青年知識人がそれをどのように受容したかを探求するものである。本年度は、昨年度同様、近角の布教の本拠地、求道会館で発見された1万通におよぶ書簡の整理・読解・分析をおこなった。これはまだ完了せず、次年度以降も引き続いてこの作業は継続される。それと同時に、書簡の電子化の作業に取り掛かった。 本科研が25年度に主催または共催した研究会は3回あった。そのうち、主催した平成26年12月の研究会では、東大キャンパス内、山上会館において、栗原敦氏と片山杜秀氏の発表を聞き、その後、質疑応答を行い、近角と宮沢賢治一族や右翼思想家との関係について研究を深めた。 個別の研究では、岩田文昭は近角の生涯に関する歴史的事実の探求を深め、出版用の原稿をまとめた。この原稿は、平成26年度中に刊行される予定である。碧海寿広は、常観とともに歎異鈔を流布させることに貢献した、暁烏敏の研究を深めた。平成25年11月には、暁烏敏における読書や教養の意味について考察した論文が、石川県白山市の主催する第29回暁烏敏賞の第一部門(哲学・思想に関する論文)に入賞した。また12月には龍谷大学アジア仏教文化研究センターの研究会にて、昭和期の近角常観による教団改革運動に関する研究発表を行った。これらの成果をもとに碧海も26年度中に単著を刊行する予定である。吉永進一は岩田文昭とC.Hardingは、仏教と心理療法に関する探求を深めた。この成果も26年度中に、イギリスのRoutledge社より、Religion and Psychotherapy in Modern Japan というタイトルで刊行される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の岩田文昭と分担者の碧海寿広は、平成25年度までの研究成果にもとづき、平成26年度中に、岩田は岩波書店から、碧海は法蔵館から近角常観研究に関する単著を刊行することになっている。これは当初の予定よりも早く、順調に研究が進展し、その成果を発表する準備ができたことを意味している。他方、1万通ほどある書簡の整理分析については、その電子化についてはおおむね順調に進展しているものの、差出人の解明やその分析については、予定よりも遅れている。それは研究分担者の勤務上の都合で、求道会館での作業時間が思うようにとれなかったことによる。このように進展と停滞との両面があるものの、研究全体としては、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
求道会館の資料の整理・分析を引き続き行う。本科研が主催・共催する研究会を継続し、近角をめぐる近代仏教研究の裾野を広げる。書簡の整理・分析の遅れに関しては、8月9月の夏休みに集中的に時間をとり進展を図ることにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が若干、残ったのは、研究分担者の所属機関の変更に伴い、求道会館所蔵の書簡の整理が予定よりも進まなかったことによる、謝金・交通費などの使用が予定より少なかったのが主な理由である。 平成26年度は、分担研究者の勤務先の夏休みなどを有効に活用し、前年度でなすことができなかった作業をし、それに伴う、研究費を使用する予定である。
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