研究課題/領域番号 |
24320020
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 正崇 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (10126279)
|
研究分担者 |
中山 和久 人間総合科学大学, 人間科学部, 講師 (80555095)
谷部 真吾 名古屋大学, 文学研究科, 助教 (80513746)
織田 竜也 長野県短期大学, 多文化コミュニケーション学科, 助教 (00431841)
浅川 泰宏 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (90513200)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 文化的景観 / 歴史遺産化 / 民俗宗教 / 道の宗教性 / 文化人類学 / 民俗学 / 宗教学 / 移動 |
研究概要 |
本研究は、歴史的に生成されてきた「景観」が観光や地域振興を目的に再解釈される動きを「歴史遺産化」と概念化し、「民俗宗教」の多角的な変容との関係を念頭に置きながら具体的な事例に基づいて考察するものである。三河・信州・遠江の「三信遠」を貫く秋葉街道とその周辺地域を主な調査地とする。本年度には、方法論の確立と問題意識の明確化及び深化を達成した。 鈴木正崇は、長野県長野市戸隠にて戸隠神社「柱松神事」・芸能の調査を、飯田市・天龍村にて盆行事などの調査を行うと同時に、調査地でのシンポジウムで成果を発表しアウトリーチ活動を行った。中山和久は、長野県佐久市における百観音巡礼碑の調査を行い、百観音巡礼の誕生時期を確定させた。谷部真吾は、静岡県磐田市と長野県駒ヶ根市における伝承の歴史遺産化について、伝承上の魔物のキャラクター化に着目して調査を行った。また、秋葉街道の整備に携わる団体の調査と秋葉山奥の院などの儀礼の調査を行った。織田竜也は、秋葉街道全域の景観の俯鰍的調査を行い分抗峠のパワースポット化などの課題の明確化した。また、「秋葉古道ウォーキング」の参与観察及び飯田市美術博物館ほかでの資料収集を行った。浅川泰宏は、四国遍路の「結願の道」における歴史遺産化の様々な試みの現状と秋葉街道の現地調査を行った。市田雅崇は、「道」の権威化の経緯について天竜川流域における諏訪信仰を例にして調査を行った。宮坂清は、長野県大鹿村への移住者の移住の経緯や現在の生活状況の調査を行い、宅幼老所の運営を担うなど移住者が高齢化・過疎化する山村を活性化する様相を明らかにした。藤野陽平と吉崎明彦は、「移動」・「移住」の文献調査と成果公開に向けたデータベースの構築を行った。桜井弘人は、飯田市域の民俗調査全般を行った。 以上のように、調査地の概要の把握と個々の調査先・課題の明確化が達成された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一点目は、同一研究者・チームによる先行研究との継続性である。代表者を同じくする「空間の表象に関する宗教民俗学的研究」(基盤研究(C)、平成18~19年度)及び「道の宗教性と文化的景観」(基盤研究(C)、平成20~22年度)において、空間表象・言説における民俗宗教の影響と、「道の宗教性」に対する「文化的景観」論による再解釈についての考察を深めていたためである。もう一点は、研究分担者・協力者ともにフィールドワークによる研究の推進に習熟しており、近年の現象である景観の歴史遺産化の調査に長じているためである。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の調査によって明確化された課題についての集中的な調査を行うとともに調査成果の共有を進め、景観の歴史遺産化と民俗宗教の変容の関係を理解するための視座を構築する。
|