研究課題/領域番号 |
24320023
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
伊藤 徹 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20193500)
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研究分担者 |
荻野 雄 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (50293981)
昆野 伸幸 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (00374869)
平子 友長 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (50126364)
長妻 三佐雄 大阪商業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80399047)
笠原 一人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (80303931)
平芳 幸浩 京都工芸繊維大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50332193)
松隈 洋 京都工芸繊維大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80324721)
西川 貴子 同志社大学, 文学部, 准教授 (20388036)
日比 嘉高 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (80334019)
若林 雅哉 関西大学, 文学部, 教授 (30372600)
秋富 克哉 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80263169)
宮野 真生子 福岡大学, 人文学部, 准教授 (40580163)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 思想史 / 政治学 / 美術史 / 文学論 / 建築史・意匠 / 国際研究者交流スイス / 国際研究者交流ドイツ / 国際研究者交流中華民国 |
研究概要 |
本基盤研究は、哲学思想、美術工芸、建築、政治学、社会学、歴史学、文学と多ジャンルに亘る共同研究者および協力者の活動をベースに、年度内4回の研究会合(第5~8回)をもち、研究成果の検証および情報の共有化を行なった。会合全体での研究報告で考察対象となった人物は、石川淳、今泉定助、小林秀雄、寺山修司、戸坂潤、星野輝興、丸山真男、三木清、村上重良など、多岐にわたった。 目標の一つである国際交流に関しては、2013年6月から9月までチューリヒ大学准教授シモン・ミュラー氏を京都工芸繊維大学国際訪問研究員として招き、共同研究を行なうとともに、第5回会合で講演もさせた。また2014年1月第7回会合にはチューリヒ大学ラジ・シュタイネック教授が招聘され講演を行なった。一方、2013年10月、伊藤と荻野がチューリヒ大学、さらに伊藤がミュンヘン大学、フライブルク大学の招待を受け、本研究に基づく講演を行なった。それとともに次年度、レーゲンスブルク大学ロビン・レーム博士を招待して報告する企画も立てられた。さらに、従来交流の拠点となってきた中華民国においては、国立台湾大学芸術史研究所・黄蘭翔教授との昨年度来の共同研究をベースとして、第8回会合を「「近代化のなかの『神話』――台湾と日本」2014国際シンポジューム(「近代化中的『神話』:台灣與日本」2014國際學術研討會2014)」として行ない、平子および昆野が報告者として参加、中華民国側からも2名のパネリストが得られた。また伊藤と長妻が京畿大学・南相虎教授を訪れ、共同研究を行うことによって、韓国の日本研究者との交流の端緒を得た。具体的には2015年1月に南教授の招待学術講演を行なう約束が得られた。 前年度のチューリヒ大学でのシンポジウムをもとに、伊藤が編者の一人に加わるかたちで論集を企画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、計4回研究会合を実施し、それぞれにおいて分担者・協力者の研究報告を受けることができた。それをベースに各参加者は、研究の直接的成果である論集のための寄稿の準備を順調に行っている。 また目標の一つである研究の国際的発信に関しては、上記概要にあるとおり、スイス、ドイツ、中華民国における招待学術講演、共同シンポジウムなどを通して従来の交流拠点との関係を強化しただけでなく、韓国・京畿大学の例に見られるように、新たな関係構築の準備も出来て次年度の活動につなげることができた。 予定外のポジティヴな点としては、昨年度チューリヒ大学で行なわれたシンポジウムが機縁となって、英語およびドイツ語での論集Wort-Bild-Assimilation Japan und Moderneの企画を立てることができたことが挙げられる。この論集に関しては、ベルリンの伝統ある出版社Gebrueder-Mann Verlagで出されているシリーズZoom Perspektiven der Moderneに加えられることが、ほぼ決定するところまでこぎつけている。 予定通り進んでいない点としては、もともと予定していた日本語での論集『主体性の系譜』(仮題)の出版事業である。昨今の出版事情もあって、販売数を期待できない研究書に対しては、いずれの出版社も躊躇を示すのが現実であるといわざるを得ない。この点に関しては、なんらか別な公表手段の利用も考える必要があるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度に当たるため、上記論集『主体性の系譜』(仮題)のための論文作成を主眼とし、研究会合は、3回程度としたい。そこにも、海外の研究者を参加させる予定で既に交渉を行ないつつある。具体的には昨年度構想していた韓国の日本研究者との交流の糸口が得られたので、京畿大学南相虎教授の招聘講演に加え、東アジア文化交流とかかわりの深い当グループの研究者の報告を行なうつもりである。今のところ1月初旬を予定して交渉している。 またロビン・レーム博士の招聘に伴う共同研究ならびに講演「ドイツの吉田鉄郎」は、既に9月後半から10月にかけてスケジュール化されている。合わせて、11月に代表者のドイツでの招待学術講演が内定しているが、その機会に本研究グループからの報告の可能性も模索してみたい。 昨年度成功をおさめた台日国際シンポジウムを、また別な報告者を参加させる可能性を探る予定である。それとの関わりで、国立台湾大学黄蘭翔教授が編纂している論集への寄稿の依頼を受けているので、これを完成させる。 論集『主体性の系譜』(仮題)に関する出版社との交渉は難題として残るが、原稿自体の完成は、本基盤研究の期間内に実現できるはずである。完成原稿を準備したうえで、別なかたちも含めて公表の可能性を探るつもりである。 昨年度浮上したドイツでの論集出版事業に関しては、海外研究協力者との連携をとって、上記Gebrueder-Mann Verlagの企画のかたちで具体化していく。これに関しては比較的早い時期に目途が立ちそうである。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越額の大半(研究代表者管理分)は、26年度に予定されている外国人研究者の招聘および海外における合同研究会をより充実した形で実施するために、費用の補填を目的としたものである。 各分担者の繰越の理由は、それぞれによって異なるが、予定していた講演や調査旅行が諸般の事情で次年度へ延期されたこと(長妻、西川)、購入するはずだった研究資料の出版に遅延が生じたこと(平芳、昆野)、年度末近くになって発見された新資料の複製に意図的に宛てること(松隈)が挙げられる。 上記繰り越し理由に基づき、使用にあたる。まず9月期のロビン・レーム氏招聘時には、歴史学者、言語学者などより広い人文学研究者との共同研究を計画している。さらに1月には、韓国・京畿大学・南相虎教授を招いて講演を実施する。11月のドイツ講演旅費が参加者を加えることによって不足した場合、こまた昨年度成功した、台湾大学でのシンポジウムを、新たな報告者を編成したうえで再度行う場合、繰り越した費用を有効に充てたいと考えている。 分担者は、それぞれ延期した講演、調査、資料収集をすみやかに実施する。
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