研究課題/領域番号 |
24320036
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
植村 幸生 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (80262252)
|
研究分担者 |
薩摩 雅登 東京芸術大学, 大学美術館, 教授 (80272657)
佐竹 悦子 東京芸術大学, 総合芸術アーカイブセンター, 助手 (10626633)
松村 智郁子 東京芸術大学, 音楽学部, 講師 (60436699)
尾高 暁子 東京芸術大学, 音楽学部, 講師 (00397019)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 地域文化 / 伝統芸能 / アーカイブ / インリーチ / 楽器製作 |
研究概要 |
a.「江戸伝統音楽・芸能データベース」の作成に先立つ、邦楽器製作者へのインタビュー実施 インタビュー対象候補として、台東区、足立区、江東区内の邦楽器製作、販売業者から以下10か所を選定(有限会社南部屋五郎右衛門、宮本卯之助商店、株式会社岡田屋布施、株式会社太鼓センター東京支店、小倉楽器店、菊岡三絃店、[有]大岡楽器、[有]大塚竹管楽器、きせん楽器店、[株]トンボ楽器製作所)。 このうち取材承諾を得た以下2氏にインタビューを実施した。(1)有限会社南部屋五郎右衛門(台東区、太鼓と神輿製造)の15代目当主、石渡司郎氏(昭和16年生まれ)、(2)菊岡三絃店(台東区、長唄三味線製造)3代目、堀1米敏雄氏(昭和13年生まれ)。この結果、(1)については、歴史的に、皮製造業が集中する地域に、太鼓の生産が強い関連を持つことが再確認された。(2)では、明治~昭和30年代の邦楽隆盛を背景に、三味線を含む邦楽器が1大量消費された状況が、改めて明らかになった。同店での技術伝承の概要や、素材提供業者との繋がりも把握できた。邦楽需要の減少と職人の老齢化により、技術継承は非常に危い状況にある。 b.楽器製作過程の記録撮影 (1)有限会社南部屋五郎右衛門で両面太鼓の皮張り作業を録画。(2)大鼓(能楽用)の指皮作成の過程を、大鼓奏者、佃良太郎氏の協力を得て撮影。ウェブサイト「アジアの楽器図鑑」で公開ずみ。 c.楽器の素材調査:絹弦製造業者の丸三ハシモト株式会社(滋賀県伊香郡木之本町木之本1049番地)で、箏用の絹弦製造過程について説明を受けた。近世以降、地場産業となった養蚕・製糸業や、京都の楽器産業を背景として、明治期以降、楽器糸生産に特化した地立地、歴史的状況が明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)楽器製造業では、江戸期以来の伝統を持つ太鼓製造や、近現代の邦楽の盛衰を映す三味線製作の実態をつぶさに把握できた。調査件数は少ないものの価値ある情報を得られた。2)上記1の情報収集は、江戸伝統音楽・芸能データベース制作の見通しを立てる上で、重要な基礎となった。
|
今後の研究の推進方策 |
1)江戸伝統音楽・芸能データベースのプロトタイプ試作、2)左記DBに、楽器製造業者への調査と、明治大正期の音楽芸能従事者調査の諸データを実装。3)公的博物館におけるインリーチの動向をさぐるため、国外楽器博物館で調査を実施。4)地域とアーカイブが連動したレクチャー&デモンストレーション実施を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1)データベース実装の人件費とする。2)研究分担者4名に振り分ける。
|