研究課題/領域番号 |
24320061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鍛治 哲郎 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30135818)
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研究分担者 |
高橋 宗五 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10134404)
長木 誠司 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50292842)
田中 純 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10251331)
ゴチェフスキ ヘルマン 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00376576)
市野川 容孝 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30277727)
梶谷 真司 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50365920)
石原 あえか 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80317289)
竹峰 義和 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20551609)
佐藤 恵子 東海大学, 総合教育センター, 教授 (50317757)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 心霊学 / 精神分析学 / 衛生博覧会 / 自動人形 |
研究概要 |
25年度は、まず9月17日にドイツのギーセン大学から来日中のUwe Wirth教授を迎えて講演会「黄金の壺 化学と狂気のあいだの筆写の場面」を開催して、19世紀前半のロマン主義の時代の自然科学と心と文学の相互関係について議論を行った。これによって20世紀初頭において心についての科学的研究が芸術に対して持った意義を検討する際の前史をおさえることができた。12月7日には南山大学地域研究センター共同研究「19~20世紀のヨーロッパにおける科学と文学の関係」グループ(代表者:真野倫平教授)と共催で東京大学駒場キャンパスでシンポジウム「科学知の詩学ー19~20世紀のドイツ・フランスにおける科学と文学・芸術」を開催した。鍛治、竹峰、石原が発表を行い、他の研究分担者も司会あるいはコメンテータとして積極的に議論に参加した。南山大学の研究会のメンバーからはフランスでの科学と芸術との繋がりについての発表があり、討論を通じて本研究課題をヨーロッパ的な広がりのなかに位置づけ、その重要性を確認することができた。25年度の研究課題に直接関係することとして、心霊学が独仏両国の芸術にとって果たした役割を具体的に指摘できたことは大きな成果であった。なお、この催しには学内外から50名を超える参加者があった。3月17日には哲学・科学思想史研究者である金森修氏を迎えて講演会「19世紀ヨーロッパにおける人工世界の表象ーシャルル・バルバラの『ウィティントン少佐』を中心に」を開催した。この講演会においては、フランスの19世紀の小説の詳細な分析によって、人工的世界の文学的想像力が当時の科学技術の発達をもとにしていた様子を事細かに知ることができただけではなく、自動人形と人間の特質とを比較しつつ、心の問題について有益な議論がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
7月7日の全体研究会および12月7日開催のシンポジウムを通して、ドイツ語圏世紀転換期における心的なものと身体機能への学問研究の進展が、当時の文学、芸術、文化に与えた影響を具体的に取り出すことができた。また2度開催した講演会では身体と心の問題を芸術および科学技術との関連で検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と同様に、研究会と講演会、シンポジウムを通して研究を進めていく。とくに今年度は舞台芸術と音楽の分野でこれまで得られた成果を発展させてシンポジウムを開催する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定書籍が年度内に届かないことや未刊行だったことにより生じた。 来年度には上記の書籍の購入に充てる計画である。
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