研究課題/領域番号 |
24320065
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鷲見 洋一 慶應義塾大学, 文学部, 名誉教授 (20051675)
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研究分担者 |
寺田 元一 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 教授 (90188681)
逸見 龍生 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60251782)
隠岐 さや香 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (60536879)
小関 武史 一橋大学, 法学研究科, 准教授 (70313450)
井田 尚 青山学院大学, 文学部, 准教授 (10339517)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 百科全書 / データベース / 書誌学 / 啓蒙主義 / メタデータ |
研究概要 |
私たちがいわば手仕事で進めてきた『百科全書』における「典拠情報」調査(個々の項目執筆者はいかなる書物や文献を読み、場合によっては引用や剽窃や要約を試みつつ、担当項目を制作したのか)は、文学研究ですでに大きな成果を挙げている「テクスト生成過程」の研究方法を、百科事典という巨大な資料体に適用しようという、無謀とも言える試みなのであるが、昨年度、私たちは研究の国際化を図り、2012年9月末から10月にかけて、フランスを代表する『百科全書』研究者4名を招聘し、シンポジウムや作業集会を開催した。シンポジウムの成果は2013年3月に冊子としてまとめることが出来た。(Recueil d'etudes sur l'Encyclopedie et les Lumieres, No2,mars 2013,ISSN2186-4284)その結果、フランス人研究者グループが行っている共同研究(『百科全書』のデジタル化)と、私たちの企画との間にかなりの近親性や類縁性が認められるにいたり、日仏共同研究の機運がにわかに高まって、分担研究者の内3名が、2013年のディドロ生誕300年を記念して開催された国際ディドロ学会(3月28日と29日、於パリ第7大学)に招待されたばかりか、その直前に4泊にわたって南仏マルセイユ市近郊のLuminyにおいて日本側分担者4名とフランス側6名の計10名による共同合宿を行い、今後の共同研究の方法や日程について詳細を検討し、企画を具体化することが出来た。パリでの学会の席上で、その報告が行われ、多大の反響を呼んだことは言うまでもない。 すでに慶應義塾大学所蔵になる『百科全書』原本17巻の撮影は完了しており、今後は「本文」の丁寧な解読をベースに、典拠メタデータ抽出と、その成果のデータベース化を図る。現在、すでに本文第1巻についてのメタデータがほぼ抽出を完了している。今後、フランス・チームとの共同研究を通じて、フランス側が構築しつつある巨大データベースを構成するもっとも充実した内実として、大きな貢献を期待されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
根を詰めるメタデータ抽出の作業は、予想通りのスローペースであるが、2012年秋に慶應義塾大学で開催した日仏国際シンポジウムが思いもかけない評判となり、フランス側からの強力な共同研究要請を招きだし、2013年3月にはフランスで合同合宿を行い、晴れて共同企画を立ち上げるまでに話が進展したことが特筆される。
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今後の研究の推進方策 |
フランスとの共同研究という好ましい展開を踏まえ、分担者の追加を含め、フランス『百科全書』メタデータ抽出という目標の実現に向けて、地味ではあるが堅実な蓄積と成果を確保したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は助成金を80万少し使い残したが、これは外国出張とその準備に時間を取られ、予定していたメタデータ抽出の作業が終えられず、多額の謝金を使わなかったためである。今年度は本来の責務であるメタデータ抽出を中心に、フランス出張、国内での研究会の整備などを心がけていきたい。
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