研究課題/領域番号 |
24320065
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鷲見 洋一 慶應義塾大学, 文学部, 名誉教授 (20051675)
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研究分担者 |
井田 尚 青山学院大学, 文学部, 教授 (10339517)
井上 櫻子 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (10422908)
真部 清孝 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (40704250)
小嶋 竜寿 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (50704269)
逸見 竜生 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60251782)
隠岐 さや香 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (60536879)
小関 武史 一橋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70313450)
寺田 元一 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (90188681)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 百科全書 / メタデータ / データベース / 典拠情報 / 電子化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ディドロ=ダランベール編集になる18世紀フランスの大事典『百科全書』について、各項目の著者が利用した参考資料を表す項目中の手がかり(「典拠メタデータ情報」と呼ぶ)を抽出・網羅してデータベース化し、この巨大事典の生成過程に光を当てることにある。ネットですでに公開されている数種の『百科全書』電子版と違い、本研究の独創は、1万6千頁を超える事典本体の全テクストを、文系研究者が協力して、丹念に全文を読み込む作業にその基盤を置いていることで、世界でも類例のない難事業であり、完成の暁にはヨーロッパ啓蒙研究、ひいては文学思想研究一般に計り知れない貢献を約束するものである。申請者らの研究は国内外にて大きな反響を呼んだ。フランス国立科学アカデミー委員会事業「百科全書電子校訂版編纂委員会」(通称ENCCRE)をはじめ、複数の国際学術機関研究者との『百科全書』共同研究を進めている。本企画で進めているフランス版『百科全書』のデータベースは、いずれはENCCREのサイトで公開されると同時に、日本での冊子体による逐次出版も視野に入れている。 平成23年以来進めてきた共同研究であるが、最終年度を終えて目下の達成、成果は以下のようなものである。1:『百科全書』本文第1巻に関わる典拠情報のデータベース化。2:『百科全書』本文第2巻、第3巻、第4巻、第8巻の典拠情報抽出結果の整理。3:初期『百科全書』をめぐる諸問題についての論文集刊行準備。4:共同研究を進めているパリの「百科全書電子校訂版編纂委員会」サイト構築に協力し、メンバー数名が記事を執筆。5:『百科全書』本文第1巻に関わる典拠情報のデータベースを冊子体で刊行する準備(すでに3号を刊行している「『百科全書』・啓蒙研究」誌第4号)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度の作業目標に掲げた5つのうち、「1:『百科全書』本文第1巻に関わる典拠情報のデータベース化」とその成果である「5:『百科全書』本文第1巻に関わる典拠情報のデータベースを冊子体で刊行する準備」について、遅延をきたした。1の典拠情報抽出作業は、第1巻1000頁弱のテクストについて、月例の研究集会の席で参加者全員が情報の一つ一つについて、さまざまな検索ツールを駆使して「正規化」を行うことで進められているが、対象となるコーパスがあまりにも巨大であるため、進捗の速度はきわめて遅く、また複数の中核的存在が病気・入院という不測の事態を招いたため、年度内にノルマを果たすことが出来なかった。その結果、冊子体刊行にまで漕ぎ着けるに至らなかった次第である。
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今後の研究の推進方策 |
幸い第6年目の延長が認可されたので、年間の研究集会の頻度を増やし、年度内には『百科全書』本文第1巻に関わる典拠情報のデータベースを仕上げて、「パイロット版」として冊子体で刊行し、世界の18世紀研究者に配布して批判を仰ぐ予定である。研究誌「『百科全書』・啓蒙研究」誌第4号を充てる所存である。またそれに併せて、『百科全書』本文第2巻以降について、すでに抽出済みの典拠メタデータを正規化する作業を、時間の許す限り継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、昨年度の作業目標に掲げた5つのうち、「1:『百科全書』本文第1巻に関わる典拠情報のデータベース化」を進め、その成果を研究誌「『百科全書』・啓蒙研究」誌第4号に発表して、世界の啓蒙研究者の批判を仰ぐ運びになっていた。だが、膨大なデータの典拠情報検索という共同作業にいちじるしい延滞を来した上、中核となるメンバー複数の病気・入院という突発事態が発生したため、データの抽出作業と成果公表の二段階にわたって支障が生まれた。月例の作業集会への参加費があまり消費されず、成果物の刊行配布費用も手つかずになったため、予算の一部が未消化のまま年度を終えることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
幸い第6年目の延長が認可されたので、年間の研究集会の頻度を増やし、秋までには『百科全書』本文第1巻に関わる典拠情報のデータベースを仕上げて、「パイロット版」として冊子体で年度内に刊行し、世界の18世紀研究者に配布して批判を仰ぐ予定である。この「パイロット版」には研究誌「『百科全書』・啓蒙研究」誌第4号を充てる所存である。予算としては、約110万円のうち、40万円を成果刊行と送付の費用に充て、残りの70万円を分担者に配分して、月例集会への参加費と参考文献の購入費に充てる予定である。
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