研究課題/領域番号 |
24320067
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅原 克也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30171135)
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研究分担者 |
劉 岸偉 東京工業大学, 外国語研究教育センター, 教授 (30230874)
李 建志 関西学院大学, 社会科学研究科, 教授 (70329978)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 語り / 日本近代 / 中国近代 / 朝鮮・韓国 |
研究概要 |
本年度は、研究計画の初年度として、はじめに研究体制の構築・整備を図った。 研究代表者のもとで「語り」に関する研究会を立ちあげ、代表者の指導大学院生をふくむメンバーで、「語り」に関する理論的研究の枠組みを構築すべく努めた。「語り」に関する理論は、G・ジュネット以来のフランス派、リモン=ケナンらに代表されるイスラエル派、さらにはNarrative Theoryとして語りの研究の拡大を図ったJ・フェランらのアメリカ派、さらにはシュタンツェル以来の伝統に連なりモニカ・フルダーニクらが活躍するドイツ派等があるが、これら諸学派の理論的立場の整理に時間を注いだ。日本語で論じうる語りの理論の構築に向け、叙上の諸理論を整合的に活用しうるまでには、猶時日を要するとの見通しを得た。なお「語り」の研究会に属する大学院生のイギリスでの学会発表の旅費援助を行った。また、関連資料の集積に努めた。さらには、R・A・モース氏の編になる英文論文集を『世界の中の柳田国男』として翻訳刊行したが、これにより、柳田国男という特異な思想家・民俗学者が英語圏においてどのように論じられているか、ひいては日本近代の固有文化がいかに語られうるのかを知る上で、貴重な知見が得られた。 研究分担者である劉岸偉は、中国近代における重要な思想家周作人に関する長年の研究にさらに新たな展開を示した。 もう一人の研究分担者である李建志は、植民地時代の朝鮮、在日朝鮮人、および北朝鮮といった苦難の歴史、経験が語られることの多い対象、論題について、幅広い研究を展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初目論んでいたモニカ・フルダーニク教授の招請が、御本人のご都合で実現しなかったため、計画していた講演会、研究会が実現しなかった。そのため、研究計画の実現はやや遅れることになった。
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今後の研究の推進方策 |
「語り」の研究会の定期的開催を通じて、語りの理論の整理を推進する。また、海外の研究者の積極的招請や、学会・シンポジウム等での発表を通じ、論点を深め、研究の深化をはかる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初24年度に予定していた外国人研究者の招請が実現しなかったため、計画の変更を余儀なくされ、当該助成金が生じた。25年度は、積極的に海外との交流を図り、研究の進展を期す。
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