研究課題/領域番号 |
24320072
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
広瀬 友紀 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50322095)
|
研究分担者 |
五十嵐 陽介 広島大学, 文学研究科, 准教授 (00549008)
酒井 弘 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50274030)
MIYAMOTO EDSON・T 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (60335479)
小野 創 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90510561)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 予測的処理 / 枝分かれ構造 / 韻律 / 日本語 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、当初予定されていた 1. 日本語の主要部予測に関する読み時間および眼球運動実験、2. 韻律情報と名詞句内構造予測に関する眼球運動実験(visual world paradigm)、3. 韻律情報と統語構造の写像関係とその情報利用のあり方に関する方言間比較実験(東京方言および近畿方言)という計画に沿い、データ収集を行った。
1.,2. の成果としては(平成25年度から継続して行った実験の成果も含む)、アクセント規則適用を示すピッチ変化が、主要部入力より前の段階における複合語構造予測を可能にしていること、また、日本語の文処理において、動詞より先に入力される項の情報から、項構造を予測するだけでなく、特定の動詞の予測にまで至っている可能性を示唆する結果を得た。3.については、近畿方言の特定のアクセント式の組み合わせにおいては統語的枝分かれ構造を写像することが困難であることが、先行研究より精緻化された実験で確認された。
実験実施およびデータの整理を終え、1,2については国際学会で成果報告を行ったほか、現在学術論文の形にまとめている。2.については、さらに発展的検討を狙って成人と6-7歳児を対象に行った実験データを検討したが、子供の実験結果に特筆すべき個人差が認められたため、より精緻な解釈および、こうした個人差の背景に関して、さらなる検討を行っている。3.については、分析が複雑化したため、知覚実験が滞っているが、産出実験の成果をより広い範囲で共有するため、他方言の研究者と情報交換を行い、より広い見地からの結果解釈にむけて検討を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画していた実験についてはおおむね予定撮り進捗している。一部、韻律情報と統語構造の方言差に関するプロジェクトにおいて、産出実験の結果解釈により多くの検討時間を割き、知覚実験が滞るという部分もあるが、産出実験の結果をもとにさらに発展的検討につながる方向に進んでいる。このため、計画は概ね順調で、一部予定範囲を超える進展をがみられたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は主に結果発表(学会発表および投稿論文執筆)およびフォローアップ実験の完了を第一の目標とする。その上で、今後より発展的な研究プロジェクトにつながるよう、これまで得られた成果とともに今後の新たな目標を整理するための情報交換活動を充実させる。これまで年度末にメンバー中心に行ってきた成果報告会を、最終年度は一般聴衆にむけて公開されたワークショップの形で行いたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者4780円と研究分担者1名5160円の残額であり、被験者のキャンセルや物品の価格変動等による端数と見なせる。
|
次年度使用額の使用計画 |
翌年に速やかに、被験者謝金もしくは消耗品に充当して執行する予定であるが、最終年度は成果発表を念頭におき、必要に応じて旅費に充当する。
|