研究課題/領域番号 |
24320079
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久保 智之 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (30214993)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シベ語 / イントネーション / モダリティ |
研究概要 |
研究目的は、シベ語の音韻論・形態論・統語論・意味論の全体に亘って、体系的な記述を行なうこと=文法を作成すること、また、辞書を作成することである。 24年度は、研究協力者である児倉徳和氏(日本学術振興会特別研究員)と共に、主として中国新彊ウイグル自治区でシベ語の調査研究を行ない、次のような研究成果を得た。 1.音韻論の分野:イントネーションの記述の精度を高めた。具体的には、「上昇」「下降」「中平」の3つの主要なイントネーションが現れる環境(条件)について、詳細に記述した。 特に「中平」イントネーションは、この言語に特徴的なイントネーションと言ってよく、命令文、疑問文などに現れる。疑問文では、「中平イントネーション」の現れる位置は、疑問のスコープ(どこからどこまでが疑問文か)の右端と一致する。その他、種々のモダリティ形式(話者の心的態度(疑問、推量、命令、勧誘など)とイントネーションの関係を明らかにした。 2.形態論(単語の形成など)の分野:種々の接辞について、その音韻論的特徴と形態論的特徴を、詳細に記述しつつある。 3.統語論(いわゆる文法)の分野:使役構文について、使役者(動作を行なわせる者)を表わす名詞と、被使役者(動作を行なう者)を表わす名詞が取る格助詞について、詳細な記述を行ないつつある。 4.辞書プロジェクト:これまでに作成した簡単な語彙集を、語彙数、記述内容などの点で充実させる作業を行なっている。 なお、新彊ウイグル自治区(イーニン(伊寧)市)での調査研究においては、同市にある伊犁師範学院の協力を得た。今後とも、学術交流を行なって行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地(中国新彊ウイグル自治区)で伊梨師範学院の協力を得ることができ、調査研究をスムーズに進めることができたため。また、研究協力者との役割分担が適切で、連携も順調であったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初の目的に沿って、さらに文法の記述、辞書の作成を推進する。引き続き、伊梨師範学院の協力のもと、現地での調査研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、日本と中国の外交関係の悪化に伴い、中国での調査研究の日程をやや短かくした。今後とも予断を許さない状況にあるが、中国新彊ウイグル自治区での調査研究には、大きな影響は無い模様なので、平成25年度は、平成24年度に実施できなかった分も含め、調査研究を進めたい。
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