延長した最終年度として、シベ語の補充調査を行なうとともに、中国新疆ウイグル自治区で行なわれた国際シンポジウムに参加した。また、日本では「第1回シベ語言語文化国際会議」を、九州大学及び東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所で開催した。中国の国際共同研究機関である伊犂師範学院(新疆ウイグル自治区イーニン市)の研究者(シベ族)、同じく中国の東北師範大学の研究者(シベ族)をはじめ、民間でシベ語の保存運動を展開しているシベ族などを、中国から招聘した。また、チェコから、シベ語の研究者を招聘した。これに日本国内のシベ族の研究者、および研究代表者の久保智之、分担者の児倉徳和も参加し、世界で初めてのシベ語による、シベ語・シベ語文化に関する国際会議を開催した。聴衆の便を図るため、適宜、日本語及び漢語で通訳を行なった。会議の内容は、シベ語の文法分析の最新の成果や、シベ語保存のための取組み(例えば、人気アニメをシベ語で吹き替えて若者に見せるなど)についてであった。 今後も定期的に国際会議を開催することを決定した(次回は2年後にチェコ(プラハのカレル大学)での開催を予定している)。また、韓国や他の欧米諸国の研究者にも、参加を呼びかけることとした。これにより、日本を中心とした、シベ語研究の国際的なネットワークが構築できる。
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