研究課題/領域番号 |
24320087
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
岡崎 正男 茨城大学, 人文学部, 教授 (30233315)
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研究分担者 |
田中 伸一 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40262919)
田端 敏幸 千葉大学, 言語教育センター, 教授 (00135237)
上田 功 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (50176583)
時崎 久夫 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (20211394)
佐々木 冠 札幌学院大学, 経営学部, 教授 (80312784)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 必異原理 / 音韻現象 / 統語現象 / 意味現象 / 最適性理論 |
研究概要 |
1.著書2件、論文10件、研究発表26件(内、招待講演7件)の研究成果が上がった。具体的なテーマは、音韻現象から統語現象まで多岐にわたる。実証班では、ピッチアクセントの分布、複合語のアクセント分布、英詩脚韻の許容範囲の決定、有声重子音回避、商標登録における音声的類似の特定などにおいて、必異原理が関与していると判断されるか関与している可能性が高いことが明らかにされた。また、英語史上の話題化と強勢衝突の関連について、必異原理が関与しないことを明らかにした。理論班では、ナバホ語の子音同化、英語の母音長化と短化の相互関連、日本語の連濁などに現象をもとにして、必異原理の位置づけとturbid representationの必要性が明らかにされるとともに、語順と語強勢型の相互関連や削除現象にもとづき、必異原理の統語表示における役割について考察が深められた。 2.研究課題の一環である東京音韻論研究会を、4月、5月、7月、9月、10月、11月、12月、1月に開催した。太田聡氏(山口大学)(4月)、菊池清一郎氏(東北大学)(5月)、白石英才氏(札幌学院大学)(5月)、窪薗晴夫氏(国立国語研究所)(9月)、高山知明氏(金沢大学)(9月)を講演者として招聘し、必異原理の適用範囲について討論を行った。 3.海外の研究者を2名招聘した。まず、8月の音韻論フォーラム(札幌学院大学にて開催)の際に、Michael Hammond 教授(アメリカ合衆国アリゾナ大学)を講演者として招聘し、音韻論的な複雑さと入力形の最適化に関する講演と討論がなされた。次に、2月に、研究活動の一環である音韻論フェスタ(KKRホテル熱海にて開催)の際にThais Cristofaro Alves de Silva教授(ブラジル連邦共和国 ミナスゲライス大学教授)を講演者として招聘し、口蓋化に関する講演と討論がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.当初の計画のとおり、実証班、理論班ともに、それぞれの目的に応じて、研究範囲を広げて研究成果を着実に発表している。具体的には、著書2件、論文10件、研究発表26件(内、招待講演7件)の実績があった。内容は、必異原理の関与を軸にして、日本語の連濁をはじめとして、複合語アクセント、英語の語内での長母音と単母音の分布、英詩の脚韻の型、語順の語強勢型の相互関連など多岐にわたる。 2. ほぼ当初の計画のとおり、研究活動の一環である東京音韻論研究会を、年度中に8回開催し、国内の5名の研究者を講演者として招聘した。当初の計画にあった3月に開催できなかったが研究の進展には問題はない。 3. 当初の計画のとおり、海外の研究者2名を講演者として招聘した。 4.当初の計画のとおり、当研究課題の研究成果発表会を3月に開催した。
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今後の研究の推進方策 |
次の4点について研究を進める。1と2は、実証班の研究課題であり、3と4は理論班の研究課題である。1.必異原理が適用される言語現象の発掘。2.必異原理の適用範囲の特定。統語現象や意味現象にどれだけ適用できるかの解明。3.必異原理の言語理論内での位置づけの特定。4.必異原理の最適性理論内部での位置づけの特定。 1と2については、何が同じものとみなされ、何が違うものであるとみなされるのか、個別の言語現象ごとに検討する。また、ひとつの言語内においても一貫した原則があるのか否か検討を進める。 3と4については、音韻現象については、前年度に引き続き、最適性理論内部での必異原理の位置づけについて、具体的な現象をもとにして特定する作業を進める。また、前年度に引き続き、統語現象と音韻形の対応などにもとづき、言語理論内部における必異原理の位置づけについての研究をさらに進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
2月のブラジルからの招聘者の旅費が、予定していた額を下回ったためである。 研究計画に関連する旅費として、代表者が速やかに執行する計画である。
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