研究課題/領域番号 |
24320087
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
岡崎 正男 茨城大学, 人文学部, 教授 (30233315)
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研究分担者 |
田端 敏幸 千葉大学, 言語教育センター, 教授 (00135237)
時崎 久夫 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (20211394)
田中 伸一 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40262919)
上田 功 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (50176583)
佐々木 冠 札幌学院大学, 経営学部, 教授 (80312784)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 必異原理 / 音韻現象 / 統語現象 / 意味現象 / 最適性理論 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究実績には次のものがある。①著書5件、論文6件(うち査読付4件)、学会発表15件(うち招待講演3件)、研究成果報告書所収の論文6件。②東京音韻論研究会を東京大学駒場キャンパスで、平成26年4月、5月、7月、9月、10月、12月に開催し、研究発表のほかに、西村康平氏(愛知淑徳大学)、吉田優子氏(同志社大学)、佐々智将氏(岩手県立大学)をそれそれ、4月、7月、9月の例会に講演者として招聘した(所属は講演当時のもの)。③平成26年8月開催の日本音韻論学会音韻論フォーラムにおいて、本研究課題補助金によりBridget Samuels氏(南カルフォルニア大学、アメリカ合衆国)とMarc van Oostendorp氏(ライデン大学 オランダ王国)を講演者として招聘した。④平成27年3月開催の第10回音韻論フェスタにおいて、本研究の代表者と分担者3名が研究発表を行うとともに、本研究助成金によりWayne P. Lawrence氏(オークランド大学 ニュージーランド)を講演者として招聘した。⑤平成27年2月に、本研究課題の研究成果報告書(冊子、vi+84頁)を作成し、代表者と分担者5名の研究論文が掲載されている。 ①~⑤の研究実績は、平成26年4月に提出した研究実施計画に沿うものである。 出版された論文には、実証研究では、英詩における強勢衝突の回避、茨城県波崎方言にとける重子音回避、複合語アクセントの類型などが含まれる。必異原理をもとに説明できる現象の発掘と整理がなされた点に意義がある。理論研究では、有声音に関連して濁りの表示と必異原理の関連に関する論考や統語現象と必異原理の関連や文強勢と必異原理の関連に関する論考が含まるが、これまでとは違う理論構築の可能性が具体的に示された点に大きな意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要の項目で記した通り、ほぼ平成26年4月に提出した研究実施計画どおりに進行していることがおおむね順調に進展していると判断する理由である。具体的には、次の4点にまとめられる。①実証班では、必異原理に関連する現象の発掘と説明という実証面で研究実績が上がり、理論班では、今までににはない理論構築の可能性を示唆する理論面の研究実績が上がっている。②計画どおり、海外から講演者を合計3名招聘し、講演をもとにした学術交流が達成できた。③東京音韻論において国内から講演者を3名招聘し、必異原理が扱う現象の範囲についての考察が深まった。④年度末に計画のとおり、研究成果報告書(冊子)を完成させた。 平成26年4月に提出した研究実施計画のうち、実現できなかった項目は、次の2点。①東京音韻論研究会の平成26年11月例会、平成27年1月と3月の例会を開催できなかった点。理由は代表者と分担者の校務。②年度末の研究成果発表会。この2点が計画どおり実施できなったが、研究遅滞はない。特に東京音韻論研究会3月例会と年度末の研究成果発表会は、3月開催の第10回音韻論フェスタにおいて、代表者と分担者3名が研究発表しているため、実質的に開催したのと同じ効果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度も、昨年に引き続き、実証班と理論班がそれぞれの目的に沿った研究活動を行う。特に、実証班は必異原理の適用領域について、理論班は必異原理の理論的位置づけについて、それぞれ重点をおいて研究を進める。年度末までに、代表者と分担者全員の研究成果を論文の形にして、研究成果報告書(冊子)としてまとめる。 また、平成26年までと同様に、東京音韻論研究会、音韻論フォーラム、音韻論フェスタに講演者を招聘し、学術交流を通して、必異原理についての理解を深める。 研究計画の変更や研究遂行上の課題は特にない。
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備考 |
研究成果報告書所収論文6編。岡崎正男「英詩における強勢衝突の回避:Emily Dickinsonの場合」、佐々木冠「茨城県神栖市波崎方言における有声重子音回避」、田端敏幸「複合語アクセントの類型」、田中伸一「濁りの表示と0CP」、時崎久夫「必異原理と生成統語論」、Isao Ueda “On the Nature of Functional Misarticulation in Japanese”
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