研究課題/領域番号 |
24320094
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真嶋 潤子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (30273733)
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研究分担者 |
友沢 昭江 桃山学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10149643)
清水 政明 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (10314262)
櫻井 千穂 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 研究員 (40723250)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 外国人児童生徒 / 複数言語能力 / 縦断的研究 / 公立小学校 |
研究実績の概要 |
日本語を母語としない児童生徒への言語教育のあり方を考えるために、縦断研究を行ってきているが、平成27年度にはこれまでに小学1年時と3年時の二言語アセスメントを行っていたK小学校の14名について、5年時のアセスメントを行うことができた。この音声データの文字化資料を分析し、結果をまとめることができたことが本年の中心的な進展部分である。それで、これまでの研究の継続と、分析結果をまとめることのできた「5年間の二言語能力の変化」についての成果発表を行った。 このような日本の公立小学校で学ぶ外国ルーツの児童の二言語についての5年にわたる縦断的調査は、過去に類を見ないものであり、学会発表では非常に好意的に受け止められた。 この他に、従来調査を行っている小学校とは別に、依頼を受けて複数の小学校への訪問と担当教員等との相談、さらに授業見学と指導の相談を行った。また一部で母語中国語の調査も手掛けることができた。 ベトナム語に関しては、対象児童数は少ないが、縦断的な指導とデータ収集を行っており、指導の工夫や子どもたちの二言語の記録データを蓄積しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国語を母語とする児童の多いK小学校、ベトナム人児童のいるS小学校での継続的調査、その他にも別の市のM小学校での調査を行った。 K小学校での5年間の縦断調査のデータの揃った児童へのインタビューは、次年度廻しとしたが、それ以外の調査は計画通りであり、成果発表(学会の全国大会での発表など)を行って高評価を得ることができた。 文科省の「対話型言語アセスメント(DLA)」の普及の為に、地元の小中学校の教員や、大学院生などにDLAの実践を指導する機会が複数回あった。 ベトナム語を母語とする児童への指導と調査も継続することができた。 次年度(最終年)に向けて、本研究の関係者一同が会する合宿研究会を行うことができ、現状の情報共有と、次年度の研究成果のまとめと報告書についての共通認識を得ることができた。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
K小学校での縦断的な二言語アセスメントを行うことのできた児童に対して、インタビュー調査を行う予定である。保護者への調査も行う予定である。また、ベトナム語を母語とする児童へのアセスメントのための準備も続けて行う。 本科研の最終年に当たるので、これまでの研究成果発表と報告を行う。8月に首都圏で、また冬に関西で発表会を行う計画である。また報告書を取りまとめ、出版準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に、K小学校で二言語の調査のできた児童に対するインタビュー調査と保護者へのインタビューを計画したので、その調査費用とデータ分析にかかる費用を前倒しで申請した。しかし、予定していた小学校では3学期には、行事の都合や、児童の病気(インフルエンザなど)のために、実質的な調査がほとんどできなかった。したがって、予定していた予算は翌年回しとさせていただきたい。さらに、データ分析に関して、統計学の専門家を招いて学習会を予定していたが、これもやむを得ない事情(インフルエンザ)のためにキャンセルすることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に、昨年度できなかったK小学校で二言語の調査のできた児童に対するインタビュー調査と保護者へのインタビューを計画している。日程調整の後に実施する予定である。またそのデータのうち音声データの文字化などに経費が必要である。また、昨年度計画していたができなかった勉強会であるが、データ分析方法の精緻化のために、統計学の専門家を招いて学習会を行う。 今年度は最終年であるために、これまでの研究成果報告を取りまとめ、発信していく予定である。そのために、会議費やデータ分析にかかる費用、編集や発信のための諸費用が必要である。
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