研究課題/領域番号 |
24320098
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
金田 智子 学習院大学, 文学部, 教授 (50304457)
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研究分担者 |
文野 峯子 人間環境大学, その他部局等, 名誉教授 (10310608)
森 篤嗣 帝塚山大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30407209)
宇佐美 洋 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40293245)
須賀 和香子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (50642279)
岩田 一成 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (70509067)
中上 亜樹 国士舘大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90581322)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生活者としての外国人 / 地域日本語教育 / 日本語教室 / 授業分析 / 研修 / 研修用教材 |
研究実績の概要 |
本研究は、「生活日本語」授業の授業データを収集し、教育の方法(教室活動、教室内相互作用)に焦点を当て、(1)多様かつ重層的な日本語授業実践の分析手法の検討・開発、(2)「生活日本語」の授業実践の実態把握及び体系化、(3)授業データを用いた研修方法の確立、を行うことを目的としている。平成27年度は、研究目的の(2)(3)を中心に行った。 1.生活日本語」の授業実践の実態把握及び体系化:各研究者は映像データ及び文字化データを複数の視点・観点・手法により分析し、その結果を雑誌、図書、研究会及びシンポジウムにおいて発表した。視点・観点とは、教師と学習者による物的リソースの占有・共有、教師のフィードバック、教師と学習者のやりとりの量と質、質問のタイプ等であり、手法は、発話を既存・独自の分類法に基づいて分析するもの、会話分析手法を用いるもの等である。これにより、教師・学習者の発話の偏り、制度的な発話展開等、地域日本語教室だけでなく、広く日本語教育の課題となりうる特徴が明らかとなった。 2.授業データを用いた研修方法の確立:分析から得られた知見や映像データ、文字化データを用いた研修を企画・運営した。その結果をもとに、指導者育成方法及び研修で用いるリソースに関する検討を行った。実際の映像データは現場を表すデータとしては貴重だが、研修に用いるには、冗長さ、音声の不明瞭さ等の原因により、研修参加者が課題を共有する上で、必ずしも有効なものにはならないことがわかった。そこで、状況が素早く把握でき、議論対象の共有化が容易となると考え、授業の特徴を漫画化したものを用いることとし、漫画教材の試作・検討に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の公表、研修方法の検討を重ねる中で、学会発表等を進める以前に、成果に基づく研修用教材の開発に注力することが、収集データやその分析結果の有効利用に確実につながるという結論に至った。そして、成果の公表活動は平成27年度前半に行い、後半においては公表活動を縮小し、研修用教材の開発を進めるための準備(教材試作、意見交換)を重点的に行った。
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今後の研究の推進方策 |
地域日本語教育実践者を含む、日本語教師、日本語教育関係者を対象とした研修に用いる教材を開発する。並行して、授業分析データに関する研究論文集(書籍)の刊行準備を進め、分析の精緻化、成果の普及を目指す。前者に関しては、随時、地域日本語教育関係者向けの研修等で用い、教材としての有効性を検証し、必要な修正を加えていく。後者は、授業データの分析結果を公表するだけでなく、研修用教材の裏付けとしたり、研修の展開可能性を示すものとする計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
「生活のための日本語」の実態を授業データの分析によって明らかにし、分析結果及び映像・文字化データを用いた研修方法を開発することが本研究の主たる目的である。研究成果の公表、研修方法の検討を重ねる中で、学会発表などを進める以前に、成果に基づく研修教材を開発・試用することが、収集データやその分析結果の有効利用につながるという結論に至った。
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次年度使用額の使用計画 |
漫画を用いた研修用教材を作成するため、収集・分析した授業データの中から、研修内容として相応しいものを選び、漫画としてのストーリーを決める。その後、漫画執筆及び編集を専門家に依頼・発注し、研修用教材(試作版)とする。ホームページにおいて公開すると同時に、協力者に試用を依頼する。 試用結果をもとに、授業データを用いた研修用教材の可能性について、学会等で発表をする予定である。
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