研究課題/領域番号 |
24320108
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
斉藤 くるみ 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (30225700)
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研究分担者 |
渡部 淳 日本大学, 文理学部, 教授 (80366541)
八木 ありさ 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (80249648)
槻舘 尚武 国際基督教大学, 教育研究所, 研究員 (80512475)
岡田 孝和 日本社会事業大学, 社会事業研究所, 研究員 (40625753)
相原 朋枝 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 講師 (60334562)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 視覚障害 / 聴覚障害 / 英語教育 / 体験型教育 |
研究概要 |
本研究は、視覚障害者・聴覚障害者の認知能力の特徴を生かした大学生のための英語教育の研究の成果(代表者の萌芽研究、H18-20)と手話・舞踊・演劇の言語性・非言語性と共感の相互関係を利用した異文化理解教育の研究の成果(代表者の基盤研究(B)、H20-23)を結びつけ、小学校英語必修化の中で、障害児が取り残されないようバリアフリー教授法・教材を視覚障害者・聴覚障害者である研究者と共に開発するというものである。その過程で、視覚型から聴覚型まで段階的な教授法・教材は学習障害や自閉症児等にも有効ではないか、さらには健常児にも認知的な偏りがあるのではないか(その教授法・教材は有効ではないか)、という問題を解明したい。同時に子どもの認知の特徴と早期第二言語習得との関係及び子どもの第二言語習得の中での体験や共感の効果を明らかにすることを目的とする。 平成24年度は、聴覚障害児には特別な視覚認知能力や身体表現能力があることや、視覚障害児には特別な聴覚認知能力や触覚あるいは自己身体認知能力があることを明らかにした研究をレビューし(Dunlea2006、Marschark2002)、これらが言語・非言語の認知および言語習得にどのように関連しているかを解明した。また発達障害(自閉症・LD)等の子どもたちの、外国語習得における困難についてレビュー一した(DiFino & Lombardino,2004)。一方、外国語教育には、現実に密着した体験型の学習が不可欠であることや(Lindsay 2000)、ダンスや音楽の外国語習得における有効性について(Michakels 2001)レビューした。障害をもつ移民(成人)や大学生の英語教育についての研究(Kashdan 2002,Mole,McColl and Vale,2008)、障害を持つ子どもの母語の習得についての研究(Dunlea 2006,Marschark 1993)もレビューした。さらに健常児が現在受けている英語教育を「英語ノート」を中心に分析し、視覚障害、聴覚障害のある子どもにとって、どのように不可能であるか、不利益であるかを、検討した上で、上記の認知能力の特色を活かす方法や、体験型教育の応用を取り入れて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は先行研究や理論の整理と、「英語ノート」の分析をする予定であったが、おおむね順調に文献研究および教材分析が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
子どもの第二言語としての英語の習得と視覚・聴覚・動作・自己身体の認知能力及びそれによる共感との関係を、バリアフリー英語教授法・教材の開発を通して明らかにする。視覚・聴覚障害のみならず、自閉症・LD、さらには健常の子どもにも、外国語習得に聴覚型・視覚型・動作型などの傾向が見られると予想される。またそれらのパターンを示す子どもにはそれぞれ特徴的な習得困難事項があると予想され、それを点字・手話・動作及びそれらを利用した共感により克服する方法を提示する。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、文部科学省の「英語ノート1」を視覚障害児に教える場合と、聴覚障害児に教える場合の問題点を挙げる。明らかになった問題点を補うためのダンス・ゲーム・ドラマを含めた教授法をデザインする。
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