研究課題/領域番号 |
24320119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
菊池 誠一 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (40327953)
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研究分担者 |
黒田 泰三 公益財団法人出光美術館, 学芸部, 学芸部長 (60392883)
藤田 励夫 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 科学課, 保存修復室長 (00416554)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日越交流史 / 近世史 / 考古学 / 美術史 / 陶磁器 |
研究概要 |
本研究は、日本と東南アジア、とりわけベトナムとの交流を物語る近世史資料を系統的に集成し、先学の研究を再検証するとともに、考古学と史学、美術史の垣根を越えた資料学としての日本と東南アジアの交流史を開拓することを目的としている。 平成24年度の実施計画として、(1)朱印状や「安南国書」の集成、(2)貿易関係文物の資料化、(3)朱印船などを描いた絵図の検証などを計画した。これに照らして、当該年度の研究成果は以下の通りである。 (1)研究分担者(藤田励夫)が中心となって、国内の朱印状・「安南国書」の悉皆調査を実施した。その結果、現存する朱印状の確認をおえた。それによると戦前に確認されていた朱印状のなかで失われて可能性のあるもの、現存するものの点数を把握できたことである。また「安南国書」にかんしては、現存する数を確認し、あわせて新資料の発見とつながったことである。これらのものは、平成25年に九州国立博物館開催の"大ベトナム展"で展示中である。このことについては、次年度実績報告で詳述する。 (2)研究代表者(菊池誠)がベトナム・ホイアン出土陶磁器の資料化を実施した。また、その関連で、ラオス出土日本陶磁器の調査などを実施した。東南アジア大陸部に17世紀後半の日本の陶磁器が多く確認でき、ラオス出土のものは、ベトナム-ラオス間の物資運搬ルートを想定する上で好材料となった。 (3)研究代表者と研究分担者(藤田、黒田泰三)で朱印船貿易絵図の調査を実施し、その研究をまとめ、科学研究補助金(研究成果公開促進費)に申請し、平成25年度の採択をうけた。平成25年度中にその成果を刊行することになった。 以上が研究成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の目的で記した、史資料の集成であるが、ベトナム・ホイアンにおける日越交流をものがたる陶磁器の資料化の進展、絵図資料の考察を科研出版助成の採択によって本年度刊行する運びとなったこと、またベトナム「安南国書」の新発見、そうした史資料を九州国立博物館「大ベトナム展」で展示、ならびに講演会をするなど、研究面とその公開に進展があったことから。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、ベトナム・ホイアンにおける陶磁器資料の資料化とゲアン省の遺跡踏査を実施する。ゲアン省は、京都の角倉船が寄港し、交易したところであり、その港跡を確認する踏査である。また、国内において引き続き朱印船関連資料の資料化を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年3月のベトナム調査のおりにかかった必要経費の一部を2013年度から支払うことになった。
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