研究課題/領域番号 |
24320125
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 孝之 東京大学, 史料編纂所, 教授 (30170757)
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研究分担者 |
小宮 木代良 東京大学, 史料編纂所, 教授 (90186809)
金子 拓 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (10302655)
及川 亘 東京大学, 史料編纂所, 助教 (70282530)
黒嶋 敏 東京大学, 史料編纂所, 助教 (90323659)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日本史 / 近世史 / 日本海地域 / 情報 / 大名 |
研究実績の概要 |
16~17世紀の日本海地域に所在した大名家の情報収集の在り方を解明し、当該期の日本海地域の政治的特質に迫るという研究目的のもと、本年度は次の史料調査を実施した。 ①金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵「加越能文庫」のうち加賀藩主前田家家中の系譜「先祖由緒并一類附帳」の調査・撮影、②秋田県公文書館所蔵の秋田藩主佐竹家家中の系譜「元禄家伝文書」の調査・撮影。①②ともに前年度からの継続で、①では1万冊以上存する「先祖由緒并一類附帳」のうち、本年度は2,616冊を調査し、適宜必要な撮影を行った。これまでの分も合わせ9,963冊の調査を終了した。②では「元禄家伝文書」のうち452点を撮影した。その他、福井市・鳥取市などで補足調査を実施した。①で撮影した「先祖由緒并一類附帳」」については、学術支援職員によるデータベース化のための入力作業を継続している。 また、昨年度に引き続き、近世初期の秋田藩の家老梅津政景の日記『梅津政景日記』のフルテキストデータベース化のための入力作業を継続し、約70%の入力を終えた。 さらに、今年度は研究発表会を開き、①佐藤孝之「加賀藩家臣団の形成過程-「先祖由緒并一類附帳」を素材として―」、②金子拓「松平忠直の隠居と秋田藩」の2報告を行った。①は、「先祖由緒并一類附帳」調査の成果として、同史料を利用して加賀藩前田家の家臣団形成過程検討したもので、中間報告ではあるが、前田家が大大名に成長する過程で様々な出自の者が家臣となっており、そこに情報ネットワークの存在を想定した。②は秋田藩の「元禄家伝文書」調査の成果であり、元和9年の松平忠直の隠居事件をめぐる佐竹氏の動向を、情報収集の面に着目して検討したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、学術支援職員が年度途中で退職し、後任が決まるまで4か月の空白が生じてしまったことや、年度当初に計画した米沢藩上杉氏(米沢市)の関係史料の調査が実施できなかったことなどにより、約110万円の次年度使用額が発生した。しかし、主要な調査対象である加賀藩前田家(金沢市)・秋田藩佐竹家(秋田市)の関係史料調査は順調に進展し、加賀藩家臣の「先祖由緒并一類附帳」については約80%の調査・撮影を終え、秋田藩家臣の「元禄家伝文書」については約90%の調査・撮影を終えた。その他補足的な調査も実施した。また、研究報告会を開いて、研究成果の中間報告を行ない意見交換を行うなど、全体的に見れば概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまでの加賀藩前田家・秋田藩佐竹家の関係史料の調査を継続するとともに、米沢藩上杉家の関係史料の調査を実現する。また、『梅津政景日記』のフルテキストデータベース化のための入力を終わらせる。そして、適宜研究報告会を開くとともに、公開の研究集会を開催することも考える。 とくに、次年度は最終年度となるため、上述の史料調査や作業等を継続しながら、これまでの研究成果を研究成果報告書として取り纏める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、学術支援職員が年度途中で退職し、後任が決まるまで4か月を要したことや、予定していた米沢藩上杉家(米沢市)の史料調査が実施できなかったことなどにより、約110万円の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の主要な使用計画としては、各地の大名家の関係史料の調査を確実に実施することと(約120万円)、学術支援職員による収集資料の整理やデータベース化のための入力作業(約100万円)、『梅津政景日記』のフルテキストデータベース化のための入力作業(約100万円)に使用する。また、最終年度であるため、研究成果報告書を作成する予定である(約50万円)。次年度使用額は、上記の計画のなかに適宜配分して使用する。
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