研究課題/領域番号 |
24320127
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
青柳 周一 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40335162)
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研究分担者 |
宇佐美 英機 滋賀大学, 経済学部, 教授 (60273398)
宇佐見 隆之 滋賀大学, 教育学部, 教授 (40319562)
水野 章二 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (40190649)
東 幸代 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (10315921)
橋本 道範 滋賀県立琵琶湖博物館, その他部局等, 専門学芸員 (10344342)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 史料研究 / 菅浦文書 / 荘園史 / 中世・近世村落史 |
研究概要 |
今年度の研究成果は、1~4の通りである。 1、滋賀大学経済学部附属史料館寄託の「菅浦文書」(2,158点、うち中世分1,261点)について、研究代表者・分担者・協力者による研究会を5回開催した(2013年6月9日、8月9日、9月27日、12月23日、2014年2月23日)。研究会では刊本『菅浦文書』(滋賀大学日本文化研究所史料館編、上巻1960年、下巻1967年)での翻刻内容について、史料1点ごとに点検し、あわせて史料中の人物や年代比定、史料名等を検討した。これにより、刊本での誤字や史料名等を訂正し、新たな『菅浦文書集成(仮)』の刊行に向けた作業を進捗させた。この作業は昨年度中に構築した「菅浦文書研究文献データベース」に基づいて行った。今年度に点検・修正した史料は128点である。 2、「菅浦文書研究文献データベース」を加筆・修正し、その内容を充実させた。 3、「菅浦文書」の関連史料のうち、附属史料館で保管する「菅浦家文書(近世分)」(348点、寄贈)について、研究代表者・協力者は昨年度中に実施した再整理に基づく目録を作成し、滋賀大学経済学部附属史料館『研究紀要』第47号(2014年3月)に掲載した。また大橋半右衛門家文書や中川家文書等の整理・仮目録作成を行った。 4、滋賀県長浜市西浅井町菅浦における現地調査を3回実施した(2013年10月12・13日、同19・20日、2014年3月15・16日)。1回目の調査では、須賀神社1250式年祭の記録や聞き取りを行った。2・3回目は菅浦の阿弥陀寺で保管する近世・近代文書のデジタルカメラによる撮影と、仮目録化を行った。これら文書はこれまで歴史学界で存在が知られておらず、全く未調査であったものである。今年度の撮影点数は465点、仮目録化した点数は179点である。撮影した文書についてはデジタル画像を整理し、改めて目録を作成する作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は刊本『菅浦文書』の点検・修正作業を、史料128点について進めることができた。これは、昨年度が77点に留まった反省を踏まえ、研究会の前に「菅浦文書研究文献データベース」を用いて史料1点ごとの下調べを行い、そのデータに基づいて研究代表者・分担者があらかじめ検討を進めておくといった手順の改善によって、作業の効率性を高めた成果である。また原史料保護の観点から、今年度の研究会では史料のデジタル画像を大型ディスプレイに映して点検・修正作業を行う方法を採用したが、このことにより微細な箇所まで点検することが可能となった。 「菅浦文書」の関連史料の調査としては、「菅浦家文書(近世分)」の目録を滋賀大学経済学部附属史料館『研究紀要』第47号(2014年3月)に掲載して公開することができた。また、現地菅浦で阿弥陀寺が保管する近世・近代文書の撮影・目録化を進捗させた。さらに50年に一度執行される須賀神社1250年祭に参加した上で聞き取り調査と記録を行い、現地の慣行や文化を理解する上で貴重な知見を得ることができた。大橋半右衛門家文書・中川家文書・下村家文書・藤川清五郎家文書といった史料群についても、整理と仮目録作成を行うことができた。 ただし「菅浦文書」の総点数(2,158点)を考慮するならば、研究会での点検・修正作業にはより一層のスピードアップが求められる。現地菅浦での史料撮影・調査についても同様に、作業体制の見直しを進め、効率よく進展させる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
刊本『菅浦文書』の点検・修正作業については、今年度より開始した「菅浦文書研究文献データベース」を用いた事前下調べに基づく研究会の効率的な運営方式を継続する。それと共に、研究会自体の開催回数の増加や合宿形式なども検討しながら、作業のスピードと確実性の向上を図る。研究会での議論の内容を録音して、そのデータを点検・修正作業にフィードバックするといった方法も検討する。また、今年度までの点検・修正作業について中間的なまとめを行い、次年度の秋頃に予定されている研究代表者による学術講演の内容に反映させ、その成果を積極的に公表する。 「菅浦文書」の関連史料の整理と目録の公開は、今年度と同じく順調に進捗させる。次年度は「菅浦共有文書(近世分)」916点、「大橋正男家文書」32点の目録を滋賀大学経済学部附属史料館『研究紀要』に掲載することを予定している。現地調査・撮影についてはスピードアップを図るため、デジタルカメラ等の機材を購入する。「菅浦文書研究文献データベース」については一層の充実化を進めると共に、その公開方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は謝金によって雇用する研究補助者の出勤日数が当初予定していたよりも少なく、「人件費・謝金」に計上した予算に残額が出た。ただしその分、研究補助者による作業の効率化を図ったため、研究・調査スケジュール自体に遅れは生じなかった。また「その他」項目については、当初は撮影した史料の紙焼き版の作成などを予定していたが、撮影作業の進捗状況から判断して今年度の作成を見合わせることとなり、残額が出ることとなった。 次年度は史料撮影作業の効率化を図るため、デジタルカメラほか撮影用機材を購入することを計画しており、今年度未使用額はその目的で使用する予定である。
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