研究課題/領域番号 |
24320137
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
守川 知子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (00431297)
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研究分担者 |
島田 竜登 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (80435106)
木村 暁 筑波大学, 人文社会系, 特任研究員 (00625113)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 東洋史 / シーア派 / ネットワーク / アジア / 近世 |
研究概要 |
初年度となる平成24年度は、代表者の守川知子(西アジア史)、分担者の島田竜登(東南アジア史)、木村暁(中央アジア史)、連携研究者の長島弘(南アジア史)、研究協力者の間野英二(中央アジア史)の5名のこれまでの研究フィールドを中心に、16~18世紀のシーア派諸派の存在の有無を確認することから始めた。2回の国内研究会を開催し、問題意識の共有、及び「シーア派」をキーワードにした各自のフィールドでの研究状況の紹介と調査の進捗状況を報告した。 その結果、多数のシーア派を送りだしたと従来考えられてきたイラン地域でのサファヴィー朝の成立(1501年)以前から、海域・陸域のアジア地域では広く「シーア派」のコミュニティーが存在することが浮かび上がりつつある。 たとえばインド洋から東南アジアにかけての近世の海域世界では、「Moor/もおる」と呼ばれる、19世紀以降増加するハドラマウトのアラブ系ではないムスリムの存在が見られる。Moor人の多くは、イラン・インド系と推定はされるものの、その実態についてはさらなる検討が必要である。同時に、インド各地に拠点を設けたシーア派の一派「ホージャ派」の歴史的起源についても検討し直す必要があろう。 また中央アジアなどの陸域世界では、中国に近い東トルキスタン地方にも、近世以前の「シーア派」コミュニティーがあったことが確認されつつある。一方で、サファヴィー朝と隣接していた現在のウズベキスタン領域では、戦争捕虜として連行されたシーア派の存在が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクト構成員の専門とする地域のバランスが良く、西・南・東南・中央といったアジア全域を広くカバーできており、多言語の一次史料をもとにした「地域横断型の広域地域研究」の側面は十分に果たされていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクトは16~18世紀と時代を限っているが、今後は、前後の時代にも目を向けつつ、12イマーム派、イスマーイール派、ホージャ派といったシーア派諸派内での相違を具体的に明らかにする。これによって、それぞれの宗派コミュニティーの活動域との関連から、「シーア派」が各地に展開した歴史的背景に迫る。
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次年度の研究費の使用計画 |
プロジェクトメンバーの本務の都合上、日程が取れなかったウズベキスタンでの現地調査を夏に行う予定である。
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