研究課題/領域番号 |
24320137
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
守川 知子 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (00431297)
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研究分担者 |
島田 竜登 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80435106)
木村 暁 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 研究員 (00625113)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シーア派 / ネットワーク / 近世 / アジア / 歴史学 |
研究実績の概要 |
プロジェクト3年目にあたる平成26年度は、9月20-21日両日に、北海道大学でシンポジウム「人の移動・移住とその記録――陸と海の近世アジア」と題するシンポジウムを開催した。初日は、研究協力者の間野英二氏(京都大学名誉教授)をはじめ、三木聰氏(北海道大学)、重松伸司氏(追手門学院大学名誉教授)の三氏が講演を行った。二日目はワークショップ形式で行い、本プロジェクト研究代表者の守川知子、分担者の島田竜登氏(東京大学)、木村暁氏(筑波大学)、連携研究者の長島弘氏(長崎県立大学名誉教授)に加えて、真下裕之氏(神戸大学)、今松泰氏(京都大学)を迎え、それぞれの研究報告をもとに活発な議論を行った。当シンポジウムでは、「近世」「アジア」「移動・旅」をキーワードにしたが、9名の専門家の報告は、いずれも多様な言語の一次史料を用いたものであり、様々な角度から、15世紀末から19世紀にかけての近世アジア世界に関する堅実な研究成果が披歴された。シンポジウム全体を通して、近世期のアジアでは、「国境」や言語地域を超えてダイナミックに移動する人びとの姿が浮かび上がり、なかでも「インド」を中心とする広範な人の移動の様相が如実に明らかになった。「インド」が中心となるこの点に関しては、今後さらに突き詰めて検討していきたい課題である。一方、個々の報告の総体として、「移動・旅とその史料からみた近世アジア世界」に関して説得力に富む大きな世界像が提示されたため、それぞれの報告をもとにした論文集を出版を目指すこととなった。論文集は、最終年度である来年度中の刊行を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
9月20-21日開催のシンポジウムが成功裡に終わったため、「近世アジア世界」の一定の認識はプロジェクト・メンバーのみならず、シンポジウムの参加者のあいだで共有することができた。またその成果を日本語の論文集として刊行することにより、学界への貢献も期待し得ると思われる。 一方、今年度はインドの現地調査ができなかったため、シンポジウムでも明らかになったような「インド」を中心とする近世アジア世界の把握が未だ緒についたばかりである。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度であるため、シンポジウムをもとにした論文集の刊行を第一義に据える。また、インド調査を行うことで、「ネットワーク」からみた「近世アジア世界」の世界像がより明確になると思われる。それらを踏まえて、今後は総括に向けて研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
インドへの調査旅行が行えなかったことと、来年度刊行予定の日本語論文集の計画の目処が立ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
インド調査旅行(5名:10日間)および、論文集の刊行経費に充てる。
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