研究課題
最終年度にあたる今年度は、本科研費共同研究の集大成となる論文集の刊行を主たる目的として活動を行った。その結果、本研究メンバー5名を含む9名の執筆者からなる『移動と交流の近世アジア史』を、プロジェクト期間内に北海道大学出版会より刊行した。本論文集は、守川知子「インド洋海域世界のイラン人─シャムにわたった人びとを中心に」、真下裕之「近世南アジアにおける人的移動の記録と記憶─デカンのムスリム王朝の出自説をめぐって」、木村暁「マンギト朝政権の対シーア派聖戦とメルヴ住民の強制移住」、今松泰「オスマン海軍提督のアラビア海からの帰還─北インド,中央アジア,イランを通って」、間野英二「ミールザー・ハイダルの生涯と彼のバダフシャーンへの旅」、三木聰「明清交替期の地方士大夫と旅─福建寧化県の李世熊を中心として」、長島弘「1730年前後作製のスーラト絵図を読み解く」、重松伸司「17~18世紀初頭のインドにおけるアルメニア商人とイギリス東インド会社―「1688年協約」をめぐって」、島田竜登「近世バタヴィアのモール人」という9つの章からなる。各論考からは、15世紀末から18世紀にかけてのユーラシア大陸とインド洋にまたがる広域アジアにおいて、人びとがダイナミックに動き、交流した様子がヴィヴィッドに明らかにされる。また、アジア史(東洋史)の特徴であり醍醐味でもある「一次(原典)史料重視」の姿勢が貫かれ、ペルシア語、オスマン語、漢文、オランダ語、英語、フランス語といった多言語の史料が、文書・叙述史料から絵図にいたるまで幅広く用いられている。個人の生涯にわたる旅、集団の移動・移住、コミュニティの形成と発展を、主にアジアの人びとの視点から描き出す本論文集は、アジアをグローバルに捉える新たな「近世アジア史像」を提示するものであり、本書の刊行によって、本共同研究は十分な成果をあげることができたと言えよう。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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『移動と交流の近世アジア史』(守川知子編)
巻: - ページ: 3-31
宇山智彦編『ユーラシア近代帝国と現代世界』
巻: - ページ: 69-96
巻: - ページ: 249-274
巻: - ページ: 59-85
巻: - ページ: 185-214
山中由里子編『<驚異>の文化史―中東とヨーロッパを中心に』
巻: - ページ: 76-94
Toshkent davlat sharqshunoslik instituti huzuridagi Sharq qo‘lyozmalari markazi (ed.), Saodat kimyosin izlab…
巻: - ページ: 27-29