研究課題/領域番号 |
24320144
|
研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
松川 節 大谷大学, 文学部, 教授 (60321064)
|
研究分担者 |
三宅 伸一郎 大谷大学, 文学部, 准教授 (00367921)
井上 治 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (70287944)
白石 典之 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40262422)
二神 葉子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 企画情報部, 情報システム研究室室長 (10321556)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 東洋史 / 考古学 / 仏教史 / 宗教史 / 環境保護 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
本研究は,モンゴル高原のオルホン河・トーラ河流域を調査対象域とし,新たに出土・発現した13世紀~17世紀までの仏教遺跡や文字資料が,従来の文献学的歴史研究といかに整合性を持つか,また統合可能かを明らかにしつつ,仏教をキーワードとして浮かび上がる北アジア史の新たな地平を追究すること,すなわち,新出土仏教遺物と文献史料の統合による13~17世紀北アジア史の再構築を目的としており,二年目に当たる今年度は,13・14世紀カラコルムの仏教寺院から出土した遺物を調査・研究するために,現地における本調査(2013年4月26日~5月8日,8月30日~9月13日,11月8日~13日)を行った。その成果は,11月23日,3月7日にそれぞれ大谷大学で開催された研究集会にて報告され,1) エルデニゾー寺院内における小規模な発掘調査の結果,モンゴル帝国時代~元朝期に築かれていた建造物の規模と構造については,一定の結論を出すには未だ至っていないこと,2)カラコルム遺蹟の興元閣址発掘現場における観察により,モンゴル・ドイツ隊が公表している興元閣建築の編年については再検討が必要であること,3)ガンダン寺及びモンゴル国立公文書館所蔵資料の解読により,16・17世紀モンゴル仏教に関する考古学的知見と整合性を持つ歴史事実が浮かび上がってきたこと,以上の成果を得た。その意義・重要性は,従来,ほとんど研究されてこなかった16・17世紀モンゴル高原における仏教伝播の状況について,考古学的証拠及び文献資料を融合することによって再構築するための基盤を確保し得た点にある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度に行う予定であったが許可を得られず今年度に延期していた現地発掘を成功裡に行うことができた。また,考古学的発掘によって得られた成果を仏教文献・公文書館資料と比較研究することにより,16・17世紀のモンゴル仏教の歴史的状況について新たな知見を得ることができたため,研究計画はおおむね順調に進展していると言える。 また,研究成果の地域還元をはかるため,モンゴル語による学術雑誌『オルホン渓谷遺産』第2号を2012年度中に発刊する予定であったが諸般の事情で延期していた。これを2013年6月に刊行した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終目的である「北アジア仏教史の再構築」を達成するため,9月中旬に国際シンポジウムを現地カラコルム博物館で開催し,会期に合わせてシンポジウム論文集(英文)一冊を刊行し,さらに関連資料集の電子ファイルでの公開を推進する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
支援者として雇用している清水奈都紀が出産に伴い2月の勤務を休んだため,6,965円の繰越金が発生した。 清水奈都紀は今年度7月より勤務可能になる見込みなので,雇用可能である。
|