研究課題/領域番号 |
24320148
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
田中 ひかる 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (00272774)
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研究分担者 |
梅森 直之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80213502)
篠田 徹 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60196392)
阿部 小涼 琉球大学, 法文学部, 准教授 (00292722)
崎山 直樹 千葉大学, 千葉大学普遍教育センター, 特任講師 (10513088)
山口 守 日本大学, 文理学部, 教授 (70210375)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アメリカ / 社会運動 / 大西洋 / 太平洋 / 移民 / ネットワーク / 近現代史 / ヨーロッパ |
研究概要 |
2013年度は、研究課題「近現代アメリカ社会運動の再検討」について、研究組織における問題意識の共有と文献収集、海外予備調査、国内外の研究協力者ネットワークの構築を進めた。 2013年6月17日および11月23日に実施した研究会、随時行ったEメールによる情報交換、および、学会・研究会開催時を利用して実施した小会合を通じて、アメリカにおける移民による社会運動史および「大西洋と太平洋をつなぐ視点」という課題に関する国際的な研究状況の把握と検討、および研究代表者・分担研究者による個別の研究に関する検討、ならびに本研究全体の方向性に関する検討と討論を重ねた。 海外予備調査は、アメリカ、オランダ、スイスで実施し、史資料収集と研究状況調査、および研究者との意見交換を行った。また、中国・韓国で開催された学会において、本研究に関連する学会報告を行った際、海外研究者と本研究課題に関連して意見を交換した。以上を通じて、次年度に実施する本調査の準備を完了させるとともに、研究全体の方向性についての検討を深めた。 研究成果は、研究代表者による太平洋を越える日米社会運動の協力・影響関係と大西洋を越える欧米社会運動に関する論文各1点、学会報告1点、研究分担者による太平洋および大西洋を越える移民/社会運動に関する著書・論文・学会報告が複数ある。 これらの成果を共有化する中で、研究会等における意見交換を通じて、次年度の研究会には海外研究者を招聘して専門的知識の提供を受けること、また、他の研究グループと合同で2014年度日本西洋史学会においてシンポジウムを開催して研究成果を発表することなどが決まり、2013年度以降の研究の方向性が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカにおける大西洋世界の移民による社会運動とアジアにおける社会運動との接点については、今年度に研究代表者が発表した研究成果、研究分担者による学会報告によって、明らかにすることができた。また、太平洋世界の移民と大西洋世界の移民との関係性を裏付ける諸事実については、研究会の口頭報告で、研究代表者が提示し、今後、さらなる調査によって全貌を解明できる見通しも示した。 その後、研究会の中で、大西洋世界の移民による社会運動と太平洋世界の移民による社会運動との関係性に関するさらなる調査を実施する上では、先行研究に関する慎重な検討、および、国外の研究者との意見交換や彼らからの情報収集が、次年度の本調査に不可欠であるという認識が生まれた。そこで、本年度は、文献・資料調査、学会報告における意見交換に、当初よりも重点を置くことになった。そのため、予定していた予備調査の数を若干削減し、それに伴い、助成金の一部を文献調査および追加予備調査のため、次年度に繰り越すことにした。 以上のように、若干の計画変更はあったが、本研究の目的は、太平洋/大西洋世界の移民の関係性を明らかにすることであり、この目的は、本年度の成果を基礎に、次年度以降に達成できると考えられる。そのため達成度は(2)に相当する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画が若干変更された。理由は、24年度、研究会等における議論と情報交換等を踏まえ、二年目の本調査の対象と範囲をより焦点化させる上で、先行研究に関するより広範な文献・史資料調査が必要である、という認識が共有されたことによる。これに基づき、3名の分担研究者は、文献・史資料調査に重点を置いた研究を実施し、これを二年目の前半においても継続し、初年度に予定されていた海外予備調査の一部を、二年目以降に実施することになった。以上の変更によって、それぞれの調査がより緻密になることが期待できる。それ以外は、計画の変更はない。 25年度は、海外より専門家を招聘して専門的知識の提供を受ける。これは、計画全体の中で、研究の枠組みを検討する上できわめて重要であり、また、26年度におけるシンポジウム報告に向けた準備を進める上で不可欠である。専門家から提供された知識や議論は、25年度半ば以降に実施する海外調査において、調査対象と方針をより明確化・焦点化することにおいても重要である。以上のような準備作業後に、25年度における本調査を実施する。その目的は、大西洋世界の移民による社会運動と太平洋世界の移民による社会運動との接点について、より明確な見通しを提示することである。また、25年度には2回の研究会を実施し、前半の研究会には海外から専門家を招聘し、その意見や議論を、海外での調査において活用することになる。後半の研究会は、他の研究会と合同で開催し、次年度のシンポジウムに関する具体的な計画を立案する場となる。また、分担研究者がこれまでの調査を踏まえた中間報告をする場となり、研究全体の進ちょく状況を把握する場となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述のように、24年度に研究会等における議論と情報交換等を踏まえると、二年目の本調査の対象と範囲をより焦点化させる上で、先行研究に関するより広範な文献・史資料調査が必要である、という認識が共有された。 以上のような研究内容上やむを得ない理由から、当初の計画を変更し、3名の分担研究者が、予定されていた海外における予備調査の一部を、25年度の後半に実施することになったため、当該助成金が生じた。 助成金については、25年度においては、主として前年度実施予定であった海外の予備調査、およびそれに付随して必要となる、文献・物品に支出を見込んでおり、これにより、助成金が全額使用されるよう計画している。 次年度以降の研究費に関しては、海外から招聘する専門家の旅費と謝金、海外での本調査、2回の研究会のための国内旅費、および、調査に付随して必要となる文献・資料・物品等について支出を予定している。
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