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2012 年度 実績報告書

歴史認識の越境化とヨーロッパ公共圏の形成―学術交流、教科書対話、博物館、メディア

研究課題

研究課題/領域番号 24320149
研究種目

基盤研究(B)

研究機関静岡県立大学

研究代表者

剣持 久木  静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60288503)

研究分担者 近藤 孝弘  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40242234)
西山 暁義  共立女子大学, 国際学部, 准教授 (80348606)
川喜田 敦子  中央大学, 文学部, 准教授 (80396837)
吉岡 潤  津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (10349243)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードヨーロッパ / 公共圏 / 学術交流 / 歴史認識 / 歴史教科書 / 歴史博物館 / 公共史 / 歴史教育
研究概要

初年度の2012年度は、研究体制の構築に重点を置いた。まず、ドイツ・ポーランド共通歴史教科書作成委員会のロベルト・トラバ氏とコンタクトをとり、9月に剣持、近藤、川喜田、吉岡がポーランド、マズーリ地方での学会に招請され、トラバ氏から詳しく状況説明を受ける機会を得た。ポーランドでは、トレブリンカ収容所跡ならびにワルシャワ蜂起博物館も合わせて視察した。さらに剣持は、パリ郊外モーに新設された第一次世界大戦博物館を、フランス歴史地理教員協会事務局長のユベール・ティゾン氏の案内で視察し、近藤、川喜田は、ドイツ、ブラウンシュバイクのゲオルク・エッカート国際教科書研究所での調査を実施している。10月には、パリ第7大学教授ソフィー・クーレ氏を招請し、日仏会館において、第二次大戦期にフランスから略奪された公文書の数奇な運命を辿る「記憶の略奪」と題した講演など、一連の講演を実施した。12月には、同じく日仏会館で開催されたシンポジウム「歴史と和解」に剣持が参加し、2013年3月には、近藤が歴史学研究会主催のシンポジウム「国境を越える歴史認識」に参加している。さらに同月には前述のトラバ氏を招請して、シンポジウム(明治大学)、ワークショップ(早稲田大学)を実施した。シンポジウムでは、東アジア共通歴史教材のメンバー、斎藤一晴氏も参加し、ワークショップでは西山がフランスのアルザス・モーゼル歴史記念館についての報告を行っている。さらに3月末には、アウシュビッツ博物館での展示にも関わっているフランス国立学術研究センターのアネット・ヴィヴィオルカ氏を中心に、シンポジウム「ショアーの表象」を共催している(東京大学)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究の目的」で掲げた、「公共史」の可能性と課題と実践的かつ理論的に考察するという、目的遂行のための初年度の課題であった、研究体制の構築は順調に達成されている。フランス、ドイツ、ボーランドで、本研究遂行のための必要な、研究機関、研究者との協力関係はおおむね順調に築かれている。

今後の研究の推進方策

「研究の目的」では、「公共史」の構築に重要な役割を果たす回路として、(i)学術ネットワーク、(ii)歴史教育、(iii)歴史博物館、(iv)メディアの四つを掲げた。(ii)については、ドイツ・ボーランド共通教科書の進捗状況のフォローを今後も継続し、欧州の状況と東アジアでの試みの比較検討作業を行っていく。(iii)については初年度に引き続き、欧州各地の歴史博物館の視察を行うとともに、表象のあり方を通じた公共史についての理論的考察を行う。(i),(iv)については2年目の本年度から本格的に調査、研究に着手する。

次年度の研究費の使用計画

海外実地調査を2012年9月に実施したが、当初は2013年3月にも追加調査を考えていたが、諸般の事情で断念したために、次年度以降に繰り越した。2013年度には、9月の実地調査とあわせて3月にも追加調査を予定している。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ヨーロッパの『短い二〇世紀』をどう記述するか 『特集:ヨーロッパ統合と国民国家の歴史認識』を読んで2013

    • 著者名/発表者名
      川喜田敦子
    • 雑誌名

      地域研究

      巻: 13巻1号 ページ: 209-213

  • [雑誌論文] 1789年革命から現在までのフランスにおける言語、学校、国民2013

    • 著者名/発表者名
      ジャン=フランソワ・シャネ(西山暁義訳)
    • 雑誌名

      青山史学

      巻: 31 ページ: 103-126

  • [雑誌論文] 西欧知識人と20世紀の共産主義-ユートピアと誤解-2013

    • 著者名/発表者名
      ソフィー・クーレ(剣持久木訳)
    • 雑誌名

      国際関係・比較文化研究

      巻: 11巻2号 ページ: 87-98

  • [雑誌論文] 二国間教科書の可能性と限界-独仏共通歴史教科書の事例から-2012

    • 著者名/発表者名
      西山暁義
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 899号 ページ: 52-59

  • [雑誌論文] 『文明化』と『野蛮化』-ドイツ近現代史における市民社会と暴力2012

    • 著者名/発表者名
      西山暁義
    • 雑誌名

      ヨーロッパ研究

      巻: 12 ページ: 145-151

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chemins de la memoire de guerre au Japon au XXe siecle. Une perspective comparative.2012

    • 著者名/発表者名
      Akiyoshi NISHIYAMA
    • 雑誌名

      共立国際研究

      巻: 30号 ページ: 145-151

  • [雑誌論文] ヴェルディブ事件-その背景と戦後の認識2012

    • 著者名/発表者名
      剣持久木
    • 雑誌名

      ふらんす

      巻: 7月号 ページ: 14-15

  • [雑誌論文] ドイツ社会における暴力-長期的現象としてのナショナリズムと反ユダヤ主義?2012

    • 著者名/発表者名
      ヘルムート・ヴァルザー・スミス(西山暁義訳)
    • 雑誌名

      ヨーロッパ研究

      巻: 12 ページ: 153-170

  • [雑誌論文] 『自己への権限付与』としての民族共同体-ナチ・ドイツにおけるユダヤ人に対する日常的暴力2012

    • 著者名/発表者名
      ミヒャエル・ヴィルト(西山暁義訳)
    • 雑誌名

      ヨーロッパ研究

      巻: 12 ページ: 171-184

  • [学会発表] 多国間歴史教材の分析視点-ヨーロッパと東アジアの比較から2013

    • 著者名/発表者名
      近藤孝弘
    • 学会等名
      歴史学研究会・歴史科学協議会・歴史教育者協議会合同シンポジウム「国境を越える歴史認識を求めて」
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2013-03-03
  • [学会発表] ポーランドの移ろう国境線と隣人たち -国境線を生む隣人たち/国境線が生む隣人たち2012

    • 著者名/発表者名
      吉岡潤
    • 学会等名
      グローバル COE プログラム「境界研究の拠点形成」 ボーダースタディーズ特別セミナー
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2012-06-15
  • [学会発表] Erziehungstadt statt Erziehungsstaat? Die Reform des Schulwesens der Stadt Straβburg vor 19142012

    • 著者名/発表者名
      Akiyoshi NISHIYAMA
    • 学会等名
      Hugo-Preuβ-Stiftung
    • 発表場所
      Potsdam
    • 年月日
      2012-06-01
  • [図書] NPOフォーラム・ポーランド組織委員会監修『ポーランドとその隣人たち1(フォーラム・ポーランド2011年会議録)』'2012

    • 著者名/発表者名
      吉岡潤
    • 総ページ数
      58
    • 出版者
      ふくろう出版

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公開日: 2014-07-16  

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