研究課題
基盤研究(B)
本研究は、日本列島における後期旧石器文化成立の一端を解明するため、最終氷期における列島への北からの移住史について考古学・形態人類学の両面から探求する。そのために、(1)北海道・嶋木遺跡の発掘調査を通じて、これまで情報が乏しかった同地域における後期旧石器時代初頭の文化形態について明らかにし、(2)これをシベリア南東部・中国北東部・モンゴルの考古資料との比較し、さらに(3)日本、中国、モンゴルから知られている後期更新世~完新世前半期の人骨化石の詳細な形態学的比較解析を実施する。平成24年度は、研究初年度のため、研究体制の整備と分析対象資料の抽出などに重点を置いた。具体的な研究課題の遂行実績は以下のとおりである。(1)北海道の最終氷期最盛期遺跡である柏台1遺跡および川西C遺跡の遺跡内空間分布の開析に着手した。(2)嶋木遺跡の発掘調査を実施し、地質編年及び空間分布に関するデータの分析を開始した。(3)帯広市教育委員会所蔵の石器資料の行動論的石器分析を行った。(4)海外の参照地域のデータ収集と討議のため、海外研究協力者の協力を得て、モンゴル・ウランバートル市とロシア・チタ市で資料調査を行った。(5)狩猟採集民行動論に関する先行研究事例の集成と整理に着手した。これらの成果の一部は、(6)中間報告としてアメリカ考古学会で発表した。また、(7)首都大学東京において国際シンポジウムを開催し、国内外の研究の現状と今後の課題を討議した。さらに、いくつかの点ですでに公表可能な成果が出始めたため、(8)国内外の査読付き学会誌に論文として投稿した。本年度の研究の遂行によって、どの段階に日本列島と大陸との関係がより深かったのかを議論する最も基本的なデータである遺跡の年代を整理することができた。
2: おおむね順調に進展している
北海道の当該遺跡の分析は、計画通り進行している。海外の参照地域のデータについても、概ね計画通り進行している。
特に変更を要しないが、海外参照地域の近年の調査成果が当初の想定よりも多く蓄積されていることが判明したため、その分析に予定よりも時間がかかることが見込まれる。重点的に対応したい。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (24件) 図書 (3件)
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