縄文時代から弥生時代への変遷は、気候の寒冷化による環境の悪化という自然的な要因と稲作農耕の導入という文化的な要因によるものと考えられてきた。本研究はこうした従来の説について3つの視点から分析をおこなった。①遺跡から出土する動物遺存体にみられる寒冷化の有無②遺跡から出土する植物遺存体にみられる寒冷化の有無③縄文時代の中期から晩期の時期の遺跡群の内部で起こった生業や社会の複雑化の要因。そしてこれらの視点からは、自然環境の大規模な悪化は認められないこと、さらに社会構造が複雑化して、生業活動が分業化してゆく傾向が認められた。
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