研究課題/領域番号 |
24320160
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
一瀬 和夫 京都橘大学, 文学部, 教授 (70460681)
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研究分担者 |
菱田 哲郎 京都府立大学, 文学部, 教授 (20183577)
佐々木 憲一 明治大学, 文学部, 教授 (20318661)
森下 章司 大手前大学, 総合文化学部, 准教授 (00210162)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 考古学 / 古墳 / 日本史 / 近代史 |
研究概要 |
本研究では、日本の考古学の黎明期に活躍した、英国人ウィリアム・ゴーランドの古墳 資料の調査と研究を総合的におこない、日英双方にまたがる歴史遺産として、古墳研究のみならず、幅広い方面での理解と活用化をはかることを目的とする。この達成のため、本年度もイギリス・ロンドン大英博物館所蔵されるゴーランド・コレクションの調査を継続した。特に古墳時代の馬具などの金属製品、玉類や装身具の図化と写真撮影、写真資料や書類の資料化を重点的に行った。本年度は金属器や須恵器片を中心に、これまで周知されていなかった品目の確認が数多くあった。撮影写真資料は大英博物館のホームページに公表する。また、ロンドン古物学協会の記録類の調査もあわせ実施した。さらに、国内資料の調査では、ゴーランド資料を出土した京都府亀岡市鹿谷古墳群の墳丘測量の整理をした。摂津と記録される資料についてもその出自を検討した。また、ゴーランドの記録のなかにある岐阜県大垣市赤坂の現地調査と地元研究者とともに美濃関係のメモが残る土器の比較、検討会をおこなった。 イギリスで総合的資料化を行って日本国内で研究が進展する類似資料との評価が可能となりつつあり、その成果を国際交流基金ロンドン日本文化センターにおいてゴーランドとそのコレクション、明治期の日本造幣局のセミナーで講演した。国内では「大英博物館所蔵ガウランド・コレクションの研究」と題して、研究メンバーが明治大学博物館公開講座「考古学ゼミナール」で講演した。 今後は、古墳時代にかかるゴーランド・コレクションの全般の調査、日本国内では他地域の調査に検討範囲と成果公開を広げていくことで、日本古墳時代研究へ寄与するとともに、そこから発生する国際的な理解を得られる形に加工することで、世界に発信できる基礎資料を活用するための基盤構築もめざす。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大英博物館での収蔵品の基礎的な調査作業の目処がついてきた。ただし、ゴーランドが細片であろうとも調査分析に必要だと考えて、イギリスに持ち帰ったであろうものが、これまで必ずしも省みられているとは言えない状況であることが確認できた。また、化学的な分析やミクロな観察が必要とされるものも見いだせたことで、当初の予定作業に加えて調査する必要のある品目の精査が加わった。
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今後の研究の推進方策 |
大英博物館での調査を中心に、資料化の調査活動を継続する。報告書作成作業を本格化する。その前段として、馬具・武器・武具、須恵器、後期前方後円墳墳丘、横穴式石室等、各専門担当が検討した成果を簡潔に概観する作業を加えたい。それを意識して、報告書にむけて、図面のトレース・写真のレイアウト、執筆などを進める。ゴーランド関係地の調査として、京都・東京の博物館・大学などが所蔵する関係資料の調査を強化、深化する。またゴーランドの記録資料の検討の後、ゴーランドの勤務先であった造幣局や国内調査の経路、その他の関連機関の記録類についても充分に検討する。明治大学において公開展示やワークショップも予定する。本年度他のコレクション出土地調査を行うとともに古墳が所在する地元で講演会を行う。 それぞれの調査は、イギリスで総合的資料化を行って日本国内で研究が進展する類似資料との評価が可能となりつつあること。ゴーランドが日本で調査した古墳の再検討も山城・大和・出雲・美濃で実施でき、それぞれの地域の古墳研究のつきあわせすることができた。今後は、古墳時代にかかるゴーランド・コレクションの全般の調査、日本国内では他地域の調査に検討範囲を広げていくことで、日本古墳時代研究へ寄与するとともに、そこから発生する国際的な理解を得られる形に加工することで、世界に発信できる基礎資料を活用するための基盤構築もめざす。
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次年度の研究費の使用計画 |
大英博物館で古墳時代の馬具などの金属製品、玉類や装身具の図化と写真撮影、写真資料や書類の資料化を重点的に行った。その際、周知されていなかった細片ついての調査分析の対処方法の検討が必要になり、一部保留となった。 周知されていなかった品目について、調査の方式を決定するための経費として計上する。
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