研究課題/領域番号 |
24320161
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
森下 章司 大手前大学, 総合文化学部, 教授 (00210162)
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研究分担者 |
黄 暁芬 東亜大学, 人間科学部, 教授 (20330722)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 道教寺院 / 石闕 / 画像石 / 四川 / 銅鏡 |
研究概要 |
本年は、ベトナム、台湾など中国周辺地域での実地調査、国内の所蔵資料調査を実施し、それぞれに成果をあげた。とくに本年度あらたに開始した活動として、新しい時期の道教寺院の実態調査があり、古い時期の道教信仰のあり方に遡及するための検討をおこなった。台湾の道教寺院は古くとも16世紀までしか遡りえないが、大陸ではあまり残されていない斗母信仰に関わる寺院が含まれている。とくに台南の天壇では斗母と北斗神などを組み合わせて配置している。他の道教寺院も調査し、像の配置や組合せなどから、星辰信仰のあり方を復元的に検討した。またベトナムなど周辺地域における道教寺院も検討した。ベトナムでは、後漢代の植民地下における墓葬とその出土品を中心に後漢代の信仰形態に関わる資料を収集し、また台湾と同様に道教寺院の調査もおこなった。国内では重要な銅鏡資料を調査し、写真撮影をおこなった。 こうした調査と並行し、これまでに蓄積した資料を整理し、とくに四川を中心に、山東、徐州、江南など他地域の後漢代の図像資料について年代的な推移や影響関係の様相について検討を進めた。四川では石闕に特徴的な図像資料が含まれており、一昨年の実地調査の結果をふまえて、その表現手法の年代的な特徴や他地域の図像表現との詳細な比較をおこなった。その結果、後漢後半段階ではこうした図像の地域間での違いや影響関係において独特で活発な動きのあることが明らかとなってきた。同様の動きは後漢後半の四川地方の銅鏡づくりと他地域の銅鏡づくりの間でも認められる。そうした面において四川地方は独特の地域性を有しており、その背後には信仰面での独自性もあったものと想定できる。地域間関係という視点から、五斗米道をふくむ後漢後半の四川地域が果たした役割の位置づけを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでに調査した資料を整理・検討する中で、四川を中心とする後漢代の銅鏡、石闕、石棺などにみられる図像資料が五斗米道をふくむ地域信仰を解明する鍵となることがはっきりしてきた。また図像資料を核に他地域との交流関係や比較研究が重要であることもみえてきた。今後の研究方針を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き四川・陝西を中心とした関連資料の実地調査を進めるとともに、研究途中で生まれてきた新たな視点からの検討を発展させる。そのためには両地域以外の中国各地における関連資料の調査を積極的に進める。また各資料の年代的位置づけを明確にし、後漢後半の信仰の動向をより細かい点から明らかにしてゆきたい。
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