後漢代の四川で勃興した五斗米道は、後に道教の源流ともなり、中国宗教史・歴史において重要な意義をもつ。文献史料だけでは不明な点が多いが、本研究では四川を中心とした実地調査をもとに、五斗米道の動向との関連性を想定した華西系鏡群や図像資料など考古資料からのアプローチを試みた。 その結果、華西系鏡群生産のさらに詳細な動向、その信仰背景を示す新資料、図像に表現された神格の意義を明らかにし、さらに五斗米道とのつながりを確認した。それらの銅鏡や図像が山東や江南など他地域にも影響を与え、また深い交流関係を有する。こうしたつながりは、同じく道教の祖となる太平道と関係する可能性をもつ。
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