研究課題/領域番号 |
24320164
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館 |
研究代表者 |
谷 豊信 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部, 部長 (70171824)
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研究分担者 |
今津 節生 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部・博物館科学課, 課長 (50250379)
鳥越 俊行 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部・文化財課, 主任研究員 (80416560)
市元 塁 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部・企画課, 主任研究員 (40416558)
河野 一隆 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部・企画課, 文化交流展室長 (10416555)
廣川 守 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課, 課長 (30565586)
川村 佳男 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部列品管理課, 主任研究員 (80419887)
丹羽 崇史 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 研究員 (40455564)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 情報考古学 / 中国古代青銅器 / 制作技法 / X線CT / 住友コレクション / 3次元計測 / 画像解析 / 鋳造実験 |
研究概要 |
中国古代青銅器は東アジアの金工史上に重要な意義を持つにもかかわらず、製作技法についての研究が遅れていると言わざるを得ない。その理由は、複雑華麗な文様装飾を持つ青銅器の内部構造をうかがい知る手段が無かった点に帰するところが少なくない。我々の研究チームでは平成21~23 年度にCT スキャナおよび3次元計測装置を活用し、世界有数の中国古代青銅器(住友コレクション)を所蔵する泉屋博古館と共同して青銅器の内部構造を解析したデータを蓄積してきた。その結果、膨大なコレクションを有する中国でも明らかにされていなかった新知見を得ることが出来、その成果は折にふれて研究会等で公表し、国際的な評価と実績も得てきたところである。 今年度には、実際にカウンターパートとなる中国科学院・科学出版社を訪れて、研究推進のための事務的協議を詰めることが出来た。特に、初年度は国際情勢のため渡航を断念した中国関係機関と協議できたことで、より実効ある研究推進に向けての準備を整えることが出来た。さらに、中国の研究者を招聘して、京都・泉屋博古館において資料を前にして作成した解析画像を検討し、画像の要否や解釈のコンセンサスを図ることが出来た。その結果、以前には気付かれていなかった重要な諸点を確認することができた一方で、報告書の構成の大部分を見直さざるを得なくなり、画像や素材の再収集を進めた。さらに中国古代青銅器の製作技術を体系的・系統的に解明するために、鋳造実験を個別に進めたり、報告書掲載論文の執筆を進め、報告書全体の7割を越える成果の集約を行なうことが出来た。 さらに一部の研究成果については、翻訳に着手することができ、次年度の報告書の編集・作成のため、大きな足がかりを構築することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年度は、折からの日中関係の悪化にともない、渡航して中国内研究機関と報告書の出版契約や連携した共同研究の準備が進められなくなってしまったが、昨年度にはその遅れを取り戻すかのように、中国科学院、北京首都博物館、科学出版社を訪れて、中国側担当者と現地での協議を進めることができた。また、それに向けて国内側でも報告書の作成・編集作業を進めることができ、研究テーマや目次の確定、体裁の検討などを進めることができ、概算見積を得ることも出来るようになった。また、執筆する上で欠くことのできない、解析画像を読み取る上での解釈に対するコンセンサスや日中間で齟齬のある学術用語に対する意味の擦り合わせなども、資料を前にして進めることができ、このため日中それぞれで分業して研究を進めることができるようになった。以上のような成果を挙げることが出来たため、おおむね順調との評価を与えた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では来年度に中国語による研究成果の出版を考えているところであり、今年度に進めた準備作業に基づいて中国側と発刊のための協議、報告書の編集作業を進めていくこととしたい。そのため、今年度中に目次や体裁の確定や一部、文章の執筆等も進めてきた。また、全体の内容の擦り合わせを資料に即して進めるため、検討も行なった。そこで、来年度は中国語版発刊に向けて諸作業を進めていく。そして、今秋に南京博物院で開催が予定されている商周青銅器の研究会でリリースを目指すこととしたい。 また、予算的な部分もにらみながら、来年度は研究最終年度にもあたるため、日本語版の実績報告書もまとめることにしたい。本研究は、今まで類の無い成果でもあるため、国内外に広く周知につとめ、次の研究へとつなげて行きたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究協力者等の原稿を日本語から中国語へ翻訳を行う為の費用および日本語版、中国語版の出版を行う費用として次年度に繰り越しを行う必要があったため。 調査研究報告書を日本語と中国語で出版する。
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