研究課題/領域番号 |
24330001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 達夫 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30114383)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 立法理学 / 立法システム改革 |
研究概要 |
本年度の研究においては、「立法学共著(予備稿)の内容の国際的発信のための作業」、「日本の立法システムの改革構想提示の第一段階の作業としての、現在の日本の立法システムの問題点の摘出分析」、「最近の新たな展開の関連文献の渉猟、研究協力者からの更なる情報収集、それらを整理しての問題の全体的総括」を行った。具体的な内容として、「国際的発信のための作業」としては、立法理学の基礎理論に関する諸論文英語改訂版の執筆、左記を踏まえての第26回IVR世界大会での英語論考の発表および討議(2013年7月後半)を行った。 また現在日本の立法システムの問題点を摘出する一環で、かかる問題の一発見的指針としての規範的法実証主義理論による、議会主権再生の可能性につき、研究代表者および連携研究者の間で討議を行った(2014年3月10日第7回研究会)。 さらに、最近の新たな展開の関連文献収集、更なる情報収集の一環として、定例の研究会において研究代表者、連携研究者、研究協力者による、各々の専門分野における最新の知見を踏まえた研究報告がなされた。具体的には、世界正義についての今後の課題を踏まえての議論(2013年4月27日第1回研究会)、フェミニズム法学への新たな視点からの批判的検討(2013年6月1日第2回研究会)、分析的法概念論へのメタ理論的考察(2013年6月29日第3回研究会)、故・碧海純一法哲学の批判的検討(2013年9月28日第4回研究会)、福利論とリベラリズムとの関係についての議論(2013年10月19日第5回研究会)、地球規模での匡正的正義の検討(同研究会)、法の行為指導性と道徳との関係(2014年1月25日第6回研究会)、カルマル連合とプーフェンドルフの国家論との関係(2014年3月10日第7回研究会)が論点として取り上げられ、それらの論点につき研究代表者、連携研究者、研究協力者の間で共同討議を行い、合わせて論点整理と全体的総括を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究目標の実質をなす研究活動を順調に進んだが、平成26年度の研究活動の踏み台となる共著刊行作業が平成25年度中には完結せず、平成26年度にずれ込むことになった。しかし平成26年度6月中にこの課題未達成部分は達成できる目途が立っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度6月までに前年度積み残しの共著刊行を完遂し、この成果を踏まえて、日本学術会議法学委員会立法学分科会との協働による公開シンポジウムを開催し、そこでの議論・一般参加者からのパブリックインプットを参考にしつつ、日本の立法システムの問題点の洗い出しと立法システム改革構想の提示みむけて研究総括を行う。初年度から25年度前半にかけて構築し改訂した立憲民主主義体制の規範的モデル、すなわち立法の正統性保障・合理性保障・謙抑性保障を的確に総合した立法産出装置としての立憲民主主義体制のモデルを一般的指針にして、日本の立法システムの問題点を克服するためのより具体的な改革構想を検討する。一般的な規範的モデルの日本の立法システム改革への応用は同時にこのモデルのテストにもなり、具体的現実に適用する上での問題が明らかになれば、モデル自体が修正されるというフィードバックの可能性も当然考慮に入れている。この最終作業は井上が全体調整しながら本共同研究参加者全員の協力で行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年に予定されていた日本学術会議法学委員会立法学分科会との協働による公開シンポジウムとその準備のための合同研究会の開催が、学術会議の事務手続き上の理由で順延されたため、これらの活動の経費の使用が平成26年に先送りされた。 また平成25年度に発注した図書の一部の納入が遅れ、平成26年度にずれ込むことになった。 上記公開シンポジウムは平成26年7月6日に開催されることが決定され、そのための準備研究会もすでに1回、平成26年4月12日に開催されている。これらの活動に割り当てられた経費は平成26年7月中までに使用される予定である。 平成25年度に未納であった図書は平成26年6月までにはすべて納入される予定である。
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