研究課題
平成26年度においては,これまでの研究成果に関する総括的な国際カンファレンスを3月に開催した。そこでは,日本を含むアジア地域におけるCISGの利用や採択状況を素材として,私法統一が付加する価値とは何か,「失敗の本質」は何かについて,国内外の研究者,法整備支援機関,UNCITRALと連携した議論を行ない,これまでの研究成果の一端を開示するとともに,今後の研究の展開につながる新たな知見を得た。以下では,このカンファレンスの成果も含め,平成26年度の研究実績の概要を述べる。1 法統一文書の時的フェーズに関する研究:平成26年度は「実施(拘束力付与)」と「改廃」のフェーズについて検討を重点的に行ない,特にCISG,国際油濁補償基金,ロッテルダムルールズに関して「実施(拘束力付与)」に関する論文や英文図書の公刊,上記カンファレンス等での口頭報告を行った。また,「改廃」フェーズについては,船主責任制限条約の「簡易改正」という手法に着目し,今後の研究課題として取り上げるべきことを確認した。それ以外のフェーズについても,「作成」フェーズについては,航空機地上損害条約を素材に「成功の条件」を探る実証的研究も公刊した。2 法統一の正当性に関する理論研究:「私法統一」という現象自体が多様化している現状をふまえ,「私法統一のもたらす付加価値」について,より分節化した検討を行い,仮説として理論構築を行った。その概要は海外のシンポジウムで報告し,その理論の新規性に対して高い評価を得た。また,「地域的統一」と「国際的法統一」の緊張関係については,アフリカを素材とした研究について学会報告を行った他,上記カンファレンスにおいてアジアにおける法整備支援においてCISGの受容が低調である原因について検討を加えた。さらに,「国民国家の法」と「地域的・国際的法統一」の緊張関係にまで踏み込んだ研究も公刊した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 3件) 図書 (2件) 備考 (2件)
SCHELIN, Johan, STURLEY, Michael F., HONKA, Hannu, FUJITA, Tomotaka, VAN DER ZIEL, Gertjan, ROSAEG, Erik & RASMUSSEN, Uffe Lind, Talks on the Rotterdam Rules (Poseidon Foerlag)
巻: ―― ページ: 31―52
私法
巻: 76号 ページ: 120―122
法律時報
巻: 86巻12号 ページ: 88―95
KEYES, Mary & WILSON, Therese (eds.), Codifying Contract Law: International and Consumer Law Perspectives (Ashgate)
巻: ―― ページ: 107―129
北大法学論集
巻: 65巻2号 ページ: 105―132
飯田秀総・小塚荘一郎・榊素寛・高橋美加・得津晶・星明男【編】『商事法の新しい礎石―落合誠一先生古稀記念』(有斐閣)
巻: ―― ページ: 499―528
学習院大学法学会雑誌
巻: 50巻1号 ページ: 461―484
帝塚山法学
巻: 26号 ページ: 45―93
二宮周平・渡辺惺之【編著】『離婚紛争の合意による解決と子の意思の尊重』(日本加除出版)
巻: ―― ページ: 199―212
http://lex.juris.hokudai.ac.jp/~sono/cisg/index.html
http://hdl.handle.net/2115/56656