研究課題/領域番号 |
24330029
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 邦彦 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00143347)
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研究分担者 |
水野 紀子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40114665)
松本 克美 立命館大学, 法務研究科, 教授 (40309084)
池田 恒男 龍谷大学, 法学部, 教授 (60092128)
早川 和男 神戸大学, 工学研究科, 名誉教授 (60116241)
淡路 剛久 立教大学, ー, 名誉教授 (90062653)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 居住福祉法学 / 災害復興 / 放射能被害 / コミュニティ崩壊 / 責任 / 原子力損害賠償 / 津波被害 / 家族 |
研究実績の概要 |
東北大震災被害は大きく津波被害と放射能被害に分かれるが、とくにこの時期には、福島の放射能被害の問題について、とくに原賠法の運用に関して示された原賠審の指針の批判的検討作業が定着し、毎月東京で研究会が行われ、吉田は、営業損害や自主避難者の問題について研究報告を行い(2014年5月、8月)、また日本環境会議の研究会では、居住福祉法学からの災害復興の方途、諸課題に関する講演を行った(2015年2月)。その成果も随時公表中である。 *その際には、自主避難者との一連の集会も貴重であった。さらに、研究分担者の淡路教授の主催による日仏の放射能被害救済の国際会議が行われてそこでも報告した(2014年10月。早稲田大学)。これにより国際的にも学際的にも、関連の医者などとの学際的交流が深まったのも収穫だった。
実態調査としては、福島の放射能被災地として、小野寺弁護士の支援を得て、いわき市から北上して、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉村、そして浪江町の帰還困難区域の津島地区を訪問して、一時帰還された被災者(退避者)との懇談会に参加した(2014年12月)。指示避難(強制避難)地区の側でもさまざまな問題を抱えることを窺い知る貴重な企画だった。その他、東北の問題から離れるが、新潟中越地震から10周年の日本災害復興学会のシンポに参加し、当時の山古志村の長島村長(現国会議員)、泉田新潟県知事などと議論する機会を得た(2014年10月)。また、広島土砂被害調査を行って、比較的その災害復興は順調に進んでいることを確認した(2014年11月)。ただ津波被害調査の方は、石巻で行ったくらいで(2014年7月)、余り進捗していないのは、反省材料である。 *辻内教授(心理学者)の被災者のトラウマ研究との提携ができたことは今後の学際研究に繋がると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射能被害の賠償については、定期的研究会で報告する機会を得て、その成果も発表しているし、実務化との提携により、現地見学できたことは貴重で、順調に本研究は進捗し、成果も出ているということができるが、他方で現場の要請に沿うように、本研究での提言が現実化しているかと訊かれると、そうでもない。(しかしこれは研究を越える問題であろう。) 他方で、津波被災地の災害復興も遅々として進んでおらず、更なる現場調査を踏まえた詰めは今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
福島の放射能被害の各論的な詰め、更にはこれまで経験したことのない災害であることにも鑑みて、チェルノブイリとの比較考察も通じて、大きな見取り図を描く作業は既に進めているが、その続行及び細密化に努めたい。 東北の津波被害の災害復興については、神戸震災に始まる地震災害との比較で、その被害状況の異同を再度明らかにし、その復興形態のあり方を具体的に提言したい。総じて、被災地の実態調査の更なる充実に勤めたい。
まとめの作業としてのシンポや研究会の展開なども考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の体調不良などの理由で、共同調査に加われないなどの事情が生じたので、やむを得ず未使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には、各分担者の体調や本務校での繁忙さを考慮して、分担金を再検討したり、研究分担に修正を加えるなどして、対処したい。
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