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2013 年度 実績報告書

森林の持続的管理と現場監視の制度的工夫―法の執行の観点より見た日欧比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 24330030
研究機関東京大学

研究代表者

交告 尚史  東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40178207)

研究分担者 三浦 大介  神奈川大学, 法学部, 教授 (30294820)
古井戸 宏通  東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (30353840)
坂本 達彦  國學院大學栃木短期大学, 日本文化学科, 准教授 (20390750)
松本 充郎  大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (70380300)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード森林 / 森林監視人 / 監守人 / 現場監視の法制度 / 持続的管理
研究概要

まず、平成25年9月21日から23日にかけて、全員参加の下、北海道調査を実施した。調査場所は、石狩森林管理署管内に所在する小柳造林地である。ここはかつて火災に遭い、その後、中等学校卒の下級吏員であった小柳氏によって造林された土地である。我々は、その内部を散策し、遷移の状況を観察し、造林地が見事に成林している様を確認した。合わせて、郷土史研究上重要な施設である黒岩家住宅を見学し、同所で受けた解説により、小柳氏がコミュニティーの中で重要な位置を占めていたことを認識した。
次に、古井戸は、平成11月8日から10日にかけて高知を訪問し、林業経済学会の秋季大会に参加した。これにより、林地相続と境界管理の問題に関して、最新の知見を得ることができた。
平成25年度のメインテーマであるフランスの森林監視員制度の研究に関しては、古井戸の努力により、大いに進展がみられた。具体的には、チロルにおける森林監守人について文献を精査し、小稿を草した。この研究により、古井戸は、チロルの森林監守人は渓流の監守の役割も果たしていたことを認識した。
坂本は、平成25年度も、群馬県と長野県のフィールドを頻繁に訪問し、資料収集に努め、かつその成果の一部を公表した。松本は、先年より米国に確保しているフィールドを探訪し、同所で聞取りを行い、資料の収集に努めた。三浦は、国立公園内での地熱発電を巡る諸問題を検討する中で、森林管理との関わりを考察する機会をもった。そして、平成26年3月30日に開催された林業経済学会のシンポジウムにおいて、学会誌に掲載された査読付き論文をもとにその成果を発表した。
交告は、全員の研究を俯瞰し、全体の方向付けを行った。具体的には、平成25年6月17日および平成26年3月25日に東京で全体会議を主催した。また、まだデンマークの法制度研究に備えてデンマーク語の学習を継続し、文献の収集に努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全員が森林の現場監視という共通の問題意識を明確に認識することができている。また、これまでメインの研究テーマとしてきたフランスの森林監視人制度について、かなり研究が進み、見通しがついてきた。さらに、坂本は、日本におけるフィールド研究を着々とこなし、フランスの制度と比較するうえでの基礎を確立しつつある。また、三浦も、国立公園内における地熱発電の開発という喫緊の課題との関わりで、森林管理の有様を具体的に考察する視座を獲得した。松本は、十分な語学力を活かしで米国調査を確実に実行しており、かつ成果を公表している。交告は、この1年間の努力により、デンマークの法制度研究の基礎を相当程度固めることができた。

今後の研究の推進方策

フランスの森林監視人制度の研究をさらに充実させる。まず、古井戸が中心となって、現地での聞取りと資料調査を実施する。すなわち、フランス訪問を計画しているわけであるが、最終年度である今期は、できるだけ多くのメンバーが参加できるようにしたい。ただ、消費税増税と円安の影響を考慮に入れて計画を立てる必要があり、各自単独の行動に伴う支出との兼ね合いを緻密に検討する必要がある。
古井戸は、フランス調査で得られた資料を精査し、そこから森林法制との関わる論点を抽出し、論文にまとめる。三浦と交告は、古井戸を助け、フランスの森林監視人制度の研究を法制度面から支援する。その際、行政裁判所の裁判例などにも注意を払うよう心掛ける。
坂本は、引き続き日本の監守人制度の研究を行う。同時に、フランス研究の成果を吸収して、比較の視座の獲得に努める。
松本は、米国での調査を継続し、その成果をまとめるとともに、全体としての比較研究に米国の制度ないし理念という第三の視座を提供できるように努力する。
交告は、デンマークの森林監視制度の研究に着手する。そして、できればこのプロジェクトの中で制度の概観を得られるように尽力する。
今期は最終年度であるから、全員参加の会合をできるだけ多くもつようにしたい。全員による活動としては、初年次に高知の四万十川流域を、そして昨年は北海道の小柳造林地を見学した。今期は、予算の制約上、そうした現場探訪型の全員行動を企画することは難しいかもしれない。その代わり、各自の研究成果を全員の共通認識に高めるための合同会議を増やすこととする。

次年度の研究費の使用計画

これまでこのプロジェクトでは、フランスの森林監視人制度の研究に比重を置いてきた。研究が進んだ段階で、できるだけ多くのメンバーがフランス調査に参加できるようにするために、旅費の支出をできるだけ抑えていた。そのために未使用金が生じたものである。
今期は最終年度であるから、フランス調査を確実に実施し、できるだけ多くのメンバーの参加を募る予定である。したがって、今期は確実に消化される見込みである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 自然公園における地熱開発の法的課題2014

    • 著者名/発表者名
      三浦大介
    • 雑誌名

      林業経済研究

      巻: 60(1) ページ: 22-33

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 幕末維新期における信州高島藩林目付の活動2014

    • 著者名/発表者名
      坂本達彦
    • 雑誌名

      栃木史学

      巻: 28号 ページ: 101-117

  • [雑誌論文] アメリカの「トンデモ」訴訟とその背景2014

    • 著者名/発表者名
      松本充郎
    • 雑誌名

      大阪大学ショセキカプロジェクト編『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』(大阪大学出版会)

      巻: 全1巻 ページ: 257-263

  • [雑誌論文] 資源開発法制の諸問題2013

    • 著者名/発表者名
      三浦大介
    • 雑誌名

      日本エネルギー法研究所月報

      巻: 224号 ページ: 1-3

  • [学会発表] 自然公園における地熱開発の諸問題

    • 著者名/発表者名
      三浦大介
    • 学会等名
      林業経済学会
    • 発表場所
      東京大学弥生講堂一条ホール(東京都文京区弥生1-1-1東京大学農学部内)
    • 招待講演
  • [学会発表] 美日水資源管理法制之發展

    • 著者名/発表者名
      松本充郎
    • 学会等名
      2013世界地球日環境法國際學術研討會
    • 発表場所
      台北大學民生校區資訊大樓國際會議廳(中華民国台北市民生東路3段67號)
    • 招待講演
  • [学会発表] Wild Sweet Fish Never Come Back Naturally;Toward Sustainable Governance of River Basins in Japan

    • 著者名/発表者名
      松本充郎
    • 学会等名
      International Association of Study of Commons
    • 発表場所
      山梨県富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合(山梨県富士吉田市上吉田5605番地)

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公開日: 2015-05-28  

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