研究課題
研究期間の最終年度にあたり、法律学試験の模擬試験実験データ収集を実施した。本模擬試験実験問題セットは、憲法・民法の2科目につき、それぞれ正誤問題54問、合計108問で構成されている。効率的かつ確実な解答データ収集のため、科目数を絞り、ウェブによるデータ収集を行った。回答者については、法律学知識を前提とする資格試験学習歴を中心とするスクリーニング質問を実施し、最終的に400ケースを収集した。本模擬試験実験は、「同一受験者モデル」をとり、項目反応理論にもとづく試験成績の等化が可能となるように設計されている。また、回答選択肢につき、「正しい」「誤り」という正誤問題における典型的な回答選択肢に並べ、「自信ないが正しいと思う」「自信ないが誤りと思う」の選択肢を加えている。このことにより解答の確信度を加味して検討することも可能となる。各科目54問を、それぞれを27問ごとの下位ユニット(難易度で易~中程度と中~難程度の2ユニット)に分割し、その下位ユニットそれぞれが独立の試験(ただし、受験者は同一)であると仮定して分析を進めた。「自信ないが・・・」も含めて正解として、前者における正解率に基づく指標を真の能力値として仮定して等化を実施した結果よりも、「自信ないが・・・」をいずれも不正解として、確信をもって正解した正解率をベースとして等化を行った場合の方が、下位ユニット間の等化結果が信頼できるという結果を得た。他方、「自信ないが・・・」も含めて正解とした場合でも、その等化結果は、実際上十分に信頼できる範囲であった。古典的テスト理論による丁寧な問題設計を行った上で、適切な等化を行うことにより、異なった問題セットでも信頼できる能力測定が可能であることも明らかとなった。これら一連の研究についてまとめた書籍の出版を準備中である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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静岡法務雑誌
巻: 6 ページ: 41-65
http://doi.org/10.14945/0000782