研究課題/領域番号 |
24330048
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研究機関 | 山梨学院大学 |
研究代表者 |
今村 都南雄 山梨学院大学, 法学部, 教授 (20055205)
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研究分担者 |
金井 利之 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40214423)
佐藤 学 沖縄国際大学, 法学部, 教授 (80352475)
嶋田 暁文 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (00380650)
原田 晃樹 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (20340416)
光本 伸江 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (00511990)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 公共サービス供給編制 / 協働 / ガバナンス / 自治 / 地域課題認定 / 多様性を許容する理論 / 課題設定の次元 / 課題対応の次元 |
研究概要 |
われわれのプロジェクトの目的は、①自治体ごとの「公共サービス供給編制」の多様性を明らかにするとともに、②それを規定し、またそれによって規定されてきた自治体の政治的営み(=「自治のダイナミクス」)を明らかにすることにある。 まず、「公共サービス供給編制」とは、「当該自治体においていかなる公共的課題に重点を置くか」という「課題設定の次元」と、「その課題に対し、どのように対応するか」という「課題対応の次元」から構成される。したがって、その多様性とは、「課題設定の多様性」と「課題対応の多様性」の二つを指す。 われわれは、置かれている環境条件や財政規模等が似通っているにもかかわらず、投げかけられた争点・課題(基地問題、原子力発電、貧困・高齢者福祉、子育て、文化振興(地域の疲弊)など)に直面した際に、他の自治体とは異なる「公共サービス供給編制」によってそれに対応している自治体に着目し、(A)当該自治体の公共サービス供給編制の特徴を明らかにするとともに、(B)その特徴がいかにしてもたらされたのか(=自治のダイナミクス)を、歴史的にさかのぼりながら、各アクターの権力配置並びに歴史的に生み出されてきた作法に着目しつつ、明らかにすることを試みてきた。 平成25年度においては、実証研究会の各班ごとに随時ヒアリング調査を行ったほか、合同ヒアリング調査として、島根県・隠岐の島の海士町を訪れた。 今年度は、これらの調査結果に基づき、論文を公刊する必要があるが、現時点での具体的な成果として、嶋田暁文「福岡市の屋台をめぐる政治と行政(上)(下)」がある。この論考は、衛生や交通の観点から全国的に排除されていった屋台がなぜ福岡では残っていったのか、屋台をめぐる公共サービス供給編制がどのように変容していったのか、それを規定した政治的営みとはどのようなものであったのか等を明らかにしたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、「やや遅れている」と判断する理由は、各班ごとに行ってきた調査結果に基づく実証的論文の公刊が少ないことによる。すでに触れた通り、本格的な公刊論文としては嶋田論文を挙げることができるにとどまっている。こうした実証的論文の少なさは、理論枠組みの構築作業に遅れを生み出すことになった一因ともなっている。 このような事態を招くに至った理由としては、6名のメンバーのうち数名が予期せざる事情で研究に集中できず、特に、秋以降の研究会設定が予定通りに運ばなかったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
上記状況を受けて、以下のような方策を講じる。 第1に、当初の6名のメンバーのうち1名の所属退職に伴い、最終年度に当たる平成26年度の調査研究班編成を、<①文化振興(海士町):嶋田、②福祉および文化振興(大牟田市):今村=原田=嶋田=佐藤=金井、③原子力(大飯町):金井、④教育(沖縄県八重山地区):金井、⑤基地問題(名護市):佐藤>というように再編する。(カッコ内の自治体は調査対象自治体を指す。) この編成は、平成26年度交付申請書において提示した班編成におおむね従っているが、退職した元・メンバーが担当していた子育て班を教育班に再編したものである。教育委員会制度の改正や教科書選択問題などが、教育班を代替的に設けた理由である。 第2に、最終年度にあたり、各班の調査研究の集約を急ぐため、各担当による論文公刊の時期を設定する。さらに、打ち合わせおよび調査等のスケジュールを早い時期に確定させ、他の所用に優先させるようにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の通り、予期せざる事情によりメンバーの数名が研究に集中できなかったこと、特に、メンバーのうち1名については、平成25年度末をもって退職となり、加えて、原子力発電所をめぐるヒアリング等の設定が予定どおりに進捗しなかったことが主たる理由である。 上記の調査研究班編成に基づいて各班の補充調査を秋期までに完了させ、逐次的に論文の公刊をするように努める。その上で、研究課題に沿った研究書の公刊に向かうこととする。
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