研究課題/領域番号 |
24330049
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
石田 徹 龍谷大学, 政策学部, 教授 (50131313)
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研究分担者 |
高橋 進 龍谷大学, 法学部, 教授 (30136577)
坪郷 實 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (20118061)
畑山 敏夫 佐賀大学, 経済学部, 教授 (10180887)
小堀 眞裕 立命館大学, 法学部, 教授 (70253937)
神谷 章生 札幌学院大学, 法学部, 教授 (60269719)
藤井 篤 香川大学, 法学部, 教授 (90222257)
中谷 毅 愛知学院大学, 法学部, 教授 (80301638)
野田 昌吾 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50275236)
渡辺 博明 龍谷大学, 法学部, 教授 (20308810)
馬場 優 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (40449533)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 再国民化 / ポピュリズム / デモクラシー / 欧州統合 / 移民 / 福祉ショービニズム |
研究概要 |
昨年度は、『ポピュリズム時代のデモクラシー-ヨーロッパからの考察』法律文化社を上梓した初年度の成果を踏まえ、「再国民化」の諸相の相互連関の分析と「再国民化」の欧米政治へのインパクトに関して現地調査を交えながら重点的に研究を行った。EUからの脱退を唱える英国独立党が支持を集めるイギリスを小堀が、反ユーロ政党である「ドイツのための選択肢」の台頭が見られるドイツを坪郷、中谷、野田が、老舗の極右政党である自由党が国内第3位の支持を得ているオーストリアを馬場が、反EU統合を掲げた国民戦線が今や政党政治の主役に躍り出ているフランスを畑山、藤井が、従来例外的に支持が弱かった極右政党が急激に支持を得ているスウェーデンを渡辺が、新手のポピュリズムである「五つ星運動」が注目を浴びるイタリアを高橋が、反大きな政府が全面に出て欧州とは異なるティー・パーティ運動が台頭するアメリカを神谷が、ポストモダンなポピュリズム政党である自由党が影響力を持つオランダを石田が、国政、地方選挙等の実情調査や現地の研究者との意見交換を行った。 それらの調査研究を通じて、欧州では債務危機が深刻化する中で反EU、反移民といった「敵をつくる政治」が国民の支持をさらに拡大してきていること、とりわけて2014年5月に行われる欧州議会選挙に向け、反EU、反ユーロの主張を全面に出すEU懐疑派が左右両翼において伸びてきていることや従来それぞれ独自の途を進みがちであった新右翼ポピュリズム政党が国際的に連携しようとしていることがあきらかにされた。 その他にも、引き続き再国民化に関連する文献・資料の収集を行うとともに、これまでの研究の成果を日本選挙学会、仏日友好協会,イタリア近現代史研究会等で報告した。また、定期的に共同研究会を開き、到達点と今後の方向性の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究グループの大半の研究者が現地に赴いて,調査し、研究者と意見交換することで、再国民化をめぐる欧米の現局面を解明できており、また研究の現段階における成果を研究会等で報告することもできているからである。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である本年度は、これまでの研究を踏まえて、全体の研究枠組みを戦略的に確定していく作業を行う。国家、EU、地域、グローバル、経済や社会・政治のどのレベルで再国民化が生じているかの検討を行いながら、「再国民化」動向の各国比較のための指標の抽出や「再国民化の政治学」の試論的提示を試みていく。その作業の進行状況は、共同研究会で点検され、適宜修正され、重点が明確にされる。研究戦略上においてなお必要な外国人研究者との意見交換や現地調査のため、引き続き海外への研究出張を行う。ドイツ、フランス、アメリカ、スウェーデンなどを予定している。併せて、研究成果の公表を様々な形で行う。また、研究年度終了後の翌年には、日本政治学会や日本比較政治学会等で分科会企画を提案するとともに著書を刊行する予定であり、その準備を今年度行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
学術研究助成基金助成金に未使用が生じたのは研究分担者の3名においてである。そのうち一人は2013年9月から2014年3月まで海外研究で日本を離れていたため、少額未使用が起こった。もう一人は当初海外調査を予定していたが、学内の役職の関係から昨年度に実施することができなかったため次年度に回さざるをえなかった。最後の一人は、他の研究補助金を受けていたため旅費、物品費関係の支出が当初の予定通りに使用できなかった。以上が理由である。 当初海外研究を予定していた研究分担者は今年度に実施する。他の研究補助金との調整の問題があった研究分担者は最終年度の今年度において主として海外研究の旅費で使用する。少額未使用の研究分担者は今年度の研究費と合算して計画を立て使用する。
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