研究概要 |
平成25年度における特筆すべき成果は、2国からなる開放経済の動学的確率的一般均衡モデルにおいて、名目為替レートのランダムウオークがその均衡解として理論的に生成できることを示し、その理論的制約を統計モデルであるUnobserved Component (UC) modelに課すことによって理論モデルをベイズ推定するフレームワークを確立したことにある。この方法論をアメリカとカナダの名目為替レートのデータに当てはめ、既存研究の問題点を明らかにした。平成25年度中に統計研究会, 東京大学, Summer Workshop for Economic Theory (北海道大学), 大阪大学社会経済研究所, 日本銀行金融研究所, および京都大学において本研究報告をおこなった。 また同じ方法論をプラザ合意以後の円ドルレートのデータにも当てはめ、いわゆるソロスチャートとして知られる円ドルレートと日米2国間の貨幣供給比率の間の高い相関の新古典派的理論的解釈を与えることに成功している。この研究成果は東京経済研究センター(TCER)の特別コンファレンス「検証:アベノミクス」において報告され、引き続きthe Journal of the Japanese and International Economiesへの投稿を求められている。 さらにDSGEモデルの計量経済学的役割として最近Gewekeによって考案された「最小解釈」をニューケインジアン型景気循環モデルの評価に応用した研究がJournal of Money, Credit, and Bankingに公刊された。この研究に関して、富山大学で開催された2013年度日本経済学会春季大会における日本学術会議経済学委員会数量的経済政策分析分科会チュートリアルセッション「マクロ計量分析」にて招待講演を行った。講演内容は日本統計学会誌に投稿を求められている。
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