研究課題/領域番号 |
24330064
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
藤原 正寛 武蔵野大学, 経済学部, 教授 (40114988)
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研究分担者 |
グレーヴァ 香子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (10219040)
松井 彰彦 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30272165)
鈴木 伸枝 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (90365536)
西村 直子 信州大学, 経済学部, 教授 (30218200)
中泉 拓也 関東学院大学, 経済学部, 教授 (00350546)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会ゲーム / 信頼 / ゲーム理論 / 実験 |
研究実績の概要 |
1、基本理論分析:藤原・グレーヴァは自発的継続囚人のジレンマで二戦略均衡が新しく定義された安定性を満たすことを示し、二戦略均衡と同値な六戦略均衡の存在を示した。藤原・グレーヴァ・鈴木は、この二戦略均衡と単一戦略均衡の利得比較を行った。これらの研究結果は論文にまとめてSSRNで公開し国内外の学会で報告した。後者は国際的専門誌に投稿し、改訂・再投稿の段階にある。 計6回の研究会を行い、自発的継続囚人のジレンマの実験結果の理論的検討を行った。実験結果は上記の二戦略均衡を概ね支持するが、そこに含まれない戦略が一定程度存在することが注目され、それを含む六戦略均衡という理論結果につながった。また、単純な二戦略ではないものの一期後に協力する戦略の割合が理論値より大きいことも注目され、被験者間の暗黙のコミュニケーションが存在する可能性を検討した。資料の収集はアルバイトを使用し、計算のチェックはRAを雇った。 2、実験経済学との関連の分析:西村・中泉を中心に、藤原・鈴木・グレーヴァ・松井を加えた6名で社会ゲームの観点から、実験結果の再検討を行った。検討すべき実験研究の焦点を絞り、社会ゲームの実験室内再現性に関する理論的検証を理論グループとの共同作業で行った。 3、実験設計・実施・分析:2012-13年度の実験の成果をふまえて、10月-11月に第2回目の本実験を行った。上記1の被験者間の暗黙のコミュニケーションが存在するかどうかについて、新たな実験を設計・実施した。謝金の支払いは業者を使った。前年度までRAを務めた安井佑太氏が学振の研究員になったため、新たに研究協力者を依頼した。西村・安井とRAが行ったデータ分析の結果を計3回の研究会で全員で検討し、実験の再設計・論文の執筆等について議論した。 4、学会報告:基本理論の分析についてグレーヴァ・鈴木がいくつかの学会で論文報告を行い、フィードバックを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに行った3回の実験の成果をふまえて設計を見直した上で、本実験を実施することができた。これらのデータを分析した結果、理論からの予想が支持される部分もある一方でこれまでの理論では説明されない部分もあることがわかり、理論分析の発展と実験の設計の変更を行った。 基礎理論については初年度から手掛けていた複数の研究を参加者の質の高いいくつかの学会で報告を行い、2本の論文にまとまったので、うち1本は国際的専門誌に投稿中、残りの1本も近日中に投稿する予定である。実験に関してはデータ分析の結果、実験設計を見直し新たな実験を行っている途上にあり、いまだ論文執筆には至っていないが、7月には学会報告を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も予定通りに進める。即ち、実験の解析を進め、その結果を参照しつつ、理論分析および本実験の設計と実施を、段階を踏んで進める。理論グループは、すでに進行している基本理論の改訂・投稿の他に、実験結果に基づく理論の発展・深化を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2回目の実験を2度行って2倍規模のデータを得る可能性があったため、人件費を中心に実験経費を計上していたが、2度目の実験を行わないことになったこと。また、アルバイト代を支払うRAの人数が予定より減ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
追加の実験を新しい実験設計の下で行う。実験に伴う経費として、業務委託費58 万円、実験運営、データ入力、実験結果解析等、研究補助のための人件費を60万 円、計上する。また論文発表のための国内外の学会・セミナーへの参加費用、都内で行う理論分析グループ、実験設計グループとの共同研究会への参加者交通費をあわせ、旅費92万円を計上する。実験、共同研究のコーディネート、資料整理等の人件費180万円を計上する。モデル構築や実験解析に有用なソフトウェアほか消耗品購入に15万円を計上する。
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