研究課題/領域番号 |
24330077
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
田中 隆一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (00397704)
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研究分担者 |
中嶋 亮 慶応義塾大学, 経済学研究科, 准教授 (70431658)
ESTEBANP Julen 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60376572)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経済理論 / 計量経済学 / 労働経済学 |
研究概要 |
本研究は、日本における労働者の職業選択行動の解明および経済厚生の分析を定量的に行い、諸外国の結果との比較を通じて日本の労働市場の特徴を浮き彫りにすることを目的としている。研究期間の初年度に当たる平成24年度は、本研究課題を遂行するための研究体制を確立しつつ、理論モデル構築とデータ作成を同時に進めてきた。まず理論モデルの構築においては、主にEsteban-Pretelと田中が遂行したが、その過程において日本の労働市場における労働フローデータに着目し、1990年代のいわゆる「失われた10年」においては離職率の増加が失業率の上昇に対して大きな影響を与えていたこと、および非正規労働者の3割は1年後に正規職についていることがわかった。 データの作成においては、主に中嶋と田中で進めてきた。日本の労働市場においては、新卒一括採用が長期にわたり雇用慣習となっており、この点は他の欧米諸国と比べても日本の労働市場が特徴的であることを意味している。さらに、この新卒一括採用制度の「副作用」として、初職がその後の職歴形成にとって多大かつ長期的な影響を与えることが示唆されており、この点を調べるために新規大卒市場における新卒者と企業とのマッチングがどのように決まっているのかを理解することが重要であるという知見を得た。この知見に基づき、新規大卒者の就職先についてのデータベースの作成に着手し、現在も進行中である。 また研究体制の確立の一環として、ニューヨーク市立大学のFrancesc Ortega准教授との連絡を取りながら、諸外国との比較分析の準備を進めた。さらに、スペインのマドリードにあるFEDEA(応用経済研究所)にてセミナーを行うことで、日本とスペインの労働市場の類似性および異質性についての情報交換を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の労働市場の特性について、さまざまなデータを収集し、新卒労働者の企業とのマッチングがその後の職歴形成にとって重要であるという知見を得たため、新卒労働者の企業とのマッチングの構造を明らかにするためのデータベース作成に取りかかることができた。さらにスペインのFEDEA及びニューヨーク市立大学にてセミナー報告を行うことで、国際連携の足がかりを作ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度から開始した新卒労働者と企業とのマッチング・データベースの作成を進めると同時に、国際比較の準備を進めてゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に就職活動についてのアンケート調査を実施することを検討していたが、新規大卒者の就職先データベースの作成を優先的に行なうため、助成金に残が生じた。次年度はデータベース作成に、余った助成金を優先的に使用する予定。
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