研究課題/領域番号 |
24330083
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50211280)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 経済事情 / 制度 / アジア・アフリカ / 公共政策 / 農村発展 |
研究概要 |
中国社会科学院・中央民族大学と連携して実施した中国西部内陸地域をカバーする世帯・村落調査にもとづき、農村公共政策の所得再分配効果、農村における公共投資プロジェクトの立地選択および財源構成の決定要因、貧困動態の農村・都市比較を進めた。その結果、2000年代初期と近年を比較すると、税・社会保障・農業補助金を通じた公的移転所得の再分配効果が顕著になったこと、なかでも農業補助金および公的医療保険の効果が大きいこと、その一方で農村公共政策の所得再分配効果には地域差が認められること、公共投資プロジェクトの立地選択および財源構成には、地方政府のインセンティブや地元農民のニーズだけでなく、行政村レベルのガヴァナンスも影響を及ぼしていること、世帯が貧困に陥る要因について都市・農村を比較すると、エスニシティと貧困の関係において歴史的要因に由来すると考えられる違いが認められること(農村ではおしなべて漢族に比べて少数民族の貧困人口比率が高いが、都市部においては西北地域と西南地域とで貧困の民族別分布が異なっていること)などが示唆された。さらに詳細な分析は平成26年度に継続するが、以上の中間的成果を中国社会科学院・中央民族大学共催の中国における地域経済発展に関する国際会議(平成25年11月、中国・北京)において発表した。 また北京師範大学と連携する全国的な世帯調査についても、サンプリングフレームと調査票の設計に関する海外共同研究者との緊密な打ち合わせを経て調査を進めた。 さらにこの全国的な調査実施に関連して、Allied Social Science Associations Annual Meeting 2014 (平成26年1月、米国・フィラデルフィア)において、中国の所得格差・貧困分析のためのミクロデータの現状について、海外共同研究者と共同で論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおり中国内陸地域の調査結果にもとづく分析を進めた。全国的世帯調査についても、計画に従い中国側研究者との緊密な連携のもとに調査を実施した。 平成25年度中に、英文と中国語の編著書2冊、海外学術誌査読論文1本、国際会議報告4本を公表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては、内陸地域調査の分析を継続すると共に、全国的世帯調査について、過去に行われた調査と比較しながらデータ分析を進める。そこで得られた結果をもとにして、本研究課題全体の取りまとめを行う。
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