研究課題/領域番号 |
24330084
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
岡田 羊祐 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30224033)
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研究分担者 |
林 秀弥 名古屋大学, 大学院法学研究科, 教授 (30364037)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 産業組織論 / 経済法 / 独占禁止法 |
研究概要 |
本研究は、独禁法違反事件に係る審判決を素材として、日本の競争政策の判例法的展開を、産業組織論の視点から分析・評価するものである。具体的には、経済学者と法学者・実務家が共同して独禁法審判決事例を研究することによって、①審判決の違法性判断基準のもつ含意を理論的に分析し、厚生上の帰結を明らかにすること、また、②違法性判断の前提となる事実認定の妥当性を実証的に検討すること、の2点を明らかにすることを研究目的としている。 平成25年度は、経済学者・法学者・弁護士・実務家22名をコア・メンバーとする「独禁法審判決研究会」をほぼ1カ月に1回(平成25年4月~7月、9月~平成26年2月の各月、全9回)開催した。コア・メンバーによる審判決事例の分析報告とともに、ゲスト・スピーカー(神戸大学・池田千鶴准教授)による研究会も行った。平成26年2月には、神戸大学・泉水文雄教授による「市場に対する経済的・社会的規制の手法に関する法律学的・経済学的研究」(基盤研究A)との共催による研究会を開催するとともに、神戸大学・島並良教授によるセミナーを開催し、独禁法と知的財産法の交錯する分野の最新の研究動向について知見を深めることができた。また、欧米の著名な法律実務家(Kirtikumar Mehta, Scott Hammond, James Venit等)が来日した機会を捉えて、独禁法のエンフォースメントに関する意見交換の機会を持つことができた。さらに平成26年3月に、川濵昇教授(京都大学)と意見交換を行い、平成26年度の研究プロジェクトの進め方や成果物の性格・分析視角・分析方法についてアドバイスを得ることができた。平成26年度以降、川濵教授には独禁法審判決研究会のメンバーの一員としても参画して頂く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、独禁法審判決研究会に参画する経済学者・法学者・弁護士のメンバーの拡充を行い(全部で25名)、各分野にバランスのとれた研究組織(経済学者11名、法学者8名、弁護士等実務家6名)に拡充することができた。これにより、審判決研究を多角的な視点から深化させる体制が整い、ほぼ月一回のペースで、最新の判例動向について理解を深めることができた。これまで平成24年度以降に取り上げた審判決事例は合計で18件に上っている。いずれも重要判例として独禁法学者や実務家からの注目度が高く、今後のさらなる研究が期待される事件である。また、最終年度である平成26年度に向けて、研究プロジェクトの成果物のとりまとめ方について意見交換を進め、法学者・実務家と経済学者による共同著作物の性格や分析視角、書物の構成について相互理解を深めることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も引き続き審判決事例の研究の蓄積を急ピッチで進めるとともに、経済学的視点からさらに深掘りすべきテーマを抽出する。また、可能であれば海外の最新動向についても情報収集を行い、研究会メンバーの知見をグローバルな視点へと広げる機会を持てるようにしたい。平成26年度中には、最終的に書物として取りまとめる審判決事例を精選するとともに、各章の執筆者構成や出版計画を具体化していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、当初の計画ほどにはゲスト・スピーカーを招いたヒアリング調査のための謝金が生じず、また独禁法審判決研究会の実施が当初予定よりも2回ほど少なくなったために未使用額が発生した。 未使用額の分については、平成26年度に審判決研究会を東京以外の場所で実施する際の旅費、あるいはゲスト・スピーカーを招く際の招聘旅費や謝金等に充当する予定である。
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