本研究の目的は人口移動を考慮しながら、都市政策・交通政策の評価が可能な費用便益分析体系を構築することであった。主要な成果は以下の三つである。第一に、人口移動が引き起こす集積の経済を明示的に考慮した費用便益分析モデルを開発した。開発したモデルは、消費者の最終財のバラエティーがもたらす集積の経済と生産者の中間財のバラエティーがもたらす集積の経済の両方を扱うことが可能である。第二に、そのモデルを用いて、現在の費用便益分析との関連を明らかにした。第三に、集積の経済の計測を実際に取り入れているイギリスの費用便益分析を検証し、真の便益を過大評価する可能性を指摘した。
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