研究課題/領域番号 |
24330087
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
岡本 亮介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60323945)
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研究分担者 |
細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60313483)
安田 洋祐 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (70463966)
城所 幸弘 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90283811)
吉田 雄一朗 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (70339919)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ネットワーク |
研究概要 |
本年度は,アメリカの特許の引用情報を用いて、研究者間の知識のスピルオーバーが局所化しているかどうかを検証した。既存研究では、州などの行政単位を超える引用と超えない引用の比率から局所化の検定がなされているが、本研究では、研究者間距離を用いる。そのために、Duranton and Overman (2005, ReStud) による産業の局所化の検定方法を知識のスピルオーバーの局所化の検定に適用できるように改良した。その結果、既存研究の結果よりも多くの技術分野で知識のスピルオーバーの局所化が確認された。さらに、おおむね200㎞の範囲で局所化が観測されることも分かった。この結果は、産業政策や交通投資による地域の生産性向上効果を予測する上での基礎となるものである。 また,これ以外に,日本における地域間賃金格差に対する個人スキルのソーティングの効果を検証した。高いスキルを持つ個人ほど、移住費用を上回る賃金上昇を得ることができるため、長距離の移住をしやすくなり、大都市には高いスキルの労働者が集積する。このような効果を抽出するため、出身地および現住地の分かる個票データを用いて、賃金方程式において移住変数が与える効果と居住地の効果を区別して推定を行った。その結果、いくつかのタイプの労働者について、移住は賃金に対し正の効果を持つことが分かった。さらにこの推定結果を用いて、移住者が出身地に留まったケースの反実仮想シミュレーションを行なった。その結果、地方における賃金が上昇し、逆に東京圏において低下することによって、地域間賃金格差が縮小することが分かった。すなわち、観察される地域間賃金格差の一部は移住によるスキルのソーティングによるものであることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、個別の4つの領域に関する研究が順調に進展し、後半の一般均衡的な分析のための基礎が用意できたため。
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクト開始当初からの4分野、(1) 交通と産業立地の相互作用の理論的研究、(2) 複数均衡のもとでの均衡選択、(3) 交通の費用便益分析における部分均衡モデルと一般均衡モデルの比較、(4) 静脈ネットワークにおけるリサイクル拠点の役割について個別の研究を完成させつつ、同時に、これら複数の分野にまたがるような経済現象の分析や手法の開発を開始する。これによって、横断的な視点から吟味を行うことができるようになり、最終的な、一般均衡的な分析へとつなげることができる。理論的・解析的な分析が難しい場合には、実際のデータ(産業連関表等)を用いて、数値計算シミュレーションを行うことも考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外における学会報告のための旅費(航空券等)が,当初計画していたよりも安価で済んだため. 研究成果をとりまとめるために打ち合わせをより頻繁に行い,また,研究成果を積極的に内外の学会に於いて報告することにしている.
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