研究課題/領域番号 |
24330087
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
岡本 亮介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60323945)
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研究分担者 |
細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60313483)
吉田 雄一朗 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (70339919)
安田 洋祐 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (70463966)
城所 幸弘 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90283811)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ネットワーク / 知識のスピルオーバー / 特許データ |
研究実績の概要 |
本年度は,主要な成果が2つある.1つは,ネットワークに関する研究である.そこでは,特許の引用情報によって観察される知識のスピルオーバーが局地化しているかどうかを検証した.この研究の特筆すべき点としては,既存研究で行われているような行政区域を用いる検定ではなく,特許間の距離分布を用いた検証方法を開発した点が挙げられる.この方法により,より多くの技術分野において局地化を検出することができた.もう1つは,応用一般均衡モデルというマクロモデルを用いて,物的・人的被害だけでなく,先般の東日本大震災直後のように原子力発電所がすべて停止して電力危機も発生するという複合災害が台湾北部で発生した場合を想定して,これがマクロ経済にどのような影響を与えるかについて分析を行った.そこでは,主に(直接的被害を受ける)資本をより多く使う産業-たとえば半導体産業-がとくに大きく生産を減らす一方で,電気電子部門のような部門は労働力の減少に大きく影響を受ける.災害の直接的影響が,通常の震災被害,すなわち,労働力の減少と資本の毀損という範囲で収まらずに,原発が使えずに電力危機が発生した場合には,社会的損失が15%程度増加してしまうことも明らかにされた.さらに,こうしたマクロモデルを動学的なものに拡張することで,長期的な復興過程についても描写することが可能になる.実際,これによって,復興のためにどれだけの財政コストがかかるのか,また,政策的介入によってどれだけの社会的損失が発生するのかを予測することが可能になった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究内容とその学術論文としての成果発表が当初予定していた程度に進捗しているため.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向けて,ディスカッションペーパーとして発行されているいくつかの論文について学術雑誌に投稿し公表することを目指す.また,逐次新しいデータが後悔されているものについては(産業連関表,貿易データ等)についても,将来に向けた研究の発展のために随時差し替えて最新のデータに基づいて実証研究を行うことができるように努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
最新の研究動向を把握するために研究会を開催してきたが,今年度は昨年度よりも2回程度少ない回数しか開催できなかった.また,データ入力のためのアルバイト代が,今年度はあまり必要にはならなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究会を次年度はより積極的に開催することを目指す.また,データ収集,資料整理のためのアルバイト代に利用する.
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