研究概要 |
本研究の目的は、日本経済を牽引する成長企業を輩出するためめファイナンスのあり方を明ちかにし、意義のある学術的・実践的インプリケーションを提示することにある。 そのためには、公開企業と未公開企業向けファイナンスの領域横断的研究を深化させ、企業のライフサイクルという時系列的変遷を視野に入れた分析枠組みの構築が不可欠である。本研究は、企業のファイナンス活動の一断面のみを対象としてきたこれまでの研究から、(1)公開企業と未公開企業の関連性、(2)未公開企業から公開企業(その逆の公開企業から未公開企業)への時系列的変遷、(3)資金調達・投資・ペイアウト活動の関連性という3つの方向から領域横断的研究を進展させることを目的としている。今年度は、(2)未公開企業から公開企業への時系列的変遷という視点からの研究を進めるために、未公開企業と取引関係にある企業(購入先、販売先の企業)が新規株式公開(IPO)を実施した場合に、当該企業の財務構造およびパフォーマンスにどのようなスピルオーバー効果をもたらすかについて実証分析を行った。本研究の成果は、Kenji Kutsuna,Janet Kiholm Smith,Richard Smith,and Kazuo Yamada,Supply-Chain Spillover Effects of IPOsとしてワーキングペーパーにまとめ、2013年1月に開催されたワークショップで報告するとともに、現在海外ジャーナルに投稿中である。新規株式公開がその企業自身にもたらす効果については膨大な研究があるが、取引関係にある企業に対して及ぼす効果については十分な研究の蓄積がなく、本研究は意義あるものと言える。
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