研究課題/領域番号 |
24330102
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
忽那 憲治 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00275273)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | IPO / 企業間信用 / スピルオーバー |
研究概要 |
今年度は、未公開企業から公開企業への時系列的変遷という視点から研究をさらに進めるために、未公開企業と取引関係にある企業が新規株式公開(IPO)を実施した場合に、仕入先企業および販売先企業の財務構造および業績パフォーマンスに対してどのようなスピルオーバー効果を持つかについての実証研究を行った。これまでの研究では、IPOを実施した企業自身に対する効果やパフォーマンスを分析するものがほとんどであったが、IPO企業と取引関係にある未公開企業に対する効果まで分析対象を拡大した研究はおそらく初めてであろうと思われる。また、多くの研究が株価の反応を分析しているのに対して、本研究では財務パフォーマンスへの影響を分析している点も特徴と言える。帝国データバンクの1993年から2005年までの未公開企業のデータを用いた分析の結果、スピルオーバー効果が確認され、IPOを促進することはIPO企業そのものにとどまらず、取引関係のある未公開企業に対してもプラスの効果があることが確認された。こうした研究の成果はすでにディスカッションペーパーにまとめ、SSRNに登録するとともに、アメリカの共同研究者はアメリカで開催されたカンファレンス等(スタンフォード大学およびUCリバーサイド校)で報告を行い、改善すべき点についての意見交換を行った。また、忽那もチュラロンコン大学のファイナンスセミナーにおいて報告を行った。こうした研究報告を通じて、海外ジャーナルに採択されるための課題についての絞り込みはほぼできており、今年度はジャーナルへの投稿を行い、採択を目指して活動する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究の成果はすでにディスカッションペーパーにまとめ、SSRNに登録するとともに、アメリカの共同研究者はアメリカで開催されたカンファレンス等(スタンフォード大学およびUCリバーサイド校)で報告を行い、改善すべき点についての意見交換を行った。また、忽那もチュラロンコン大学のファイナンスセミナーにおいて報告を行った。こうした研究報告を通じて、海外ジャーナルに採択されるための課題についての絞り込みはほぼできており、今年度はジャーナルへの投稿を行い、採択を目指して活動する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究とのつながりでは、本年度に計画している研究は大きく2つである。1つは、ファミリービジネスと非ファミリービジネスの間で仕入先や販売先企業との関係にどのような違いが見られるかを分析する。ファミリービジネスは、先行研究において長期的な視点から経営を行うことが明らかにされており、企業間信用の構築においても特徴が見られるかどうかを明らかにすることがこの研究の目的である。もう1つは、IPOによって未公開企業が公開企業になると、未公開企業の段階と公開企業になってからの段階において、仕入先企業や販売先企業との関係に変化が生じるかどうかを実証的に考察する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を検討していたベンチャーキャピタル投資に関するデータの整備が少し遅れているため、購入を見送った。今年度にはデータが整うので購入する予定である。 ベンチャーキャピタル投資に関するデータの購入を行う計画である。
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