研究概要 |
本研究プログラムは金融規制、金融安定性および金融政策に関連する様々な問題を批判的・実証的観点から考察する、相補的な3つのプロジェクトから構成されている.まず、国際金融システムを形成する諸力について、増大する市場変動性に注目しながら規制的な観点から検討する.次に、金融が不安定な期間における変動性の予想と金融政策の策定との間の関係について調査する.最後に、実質利子率の非線形調節に対して実証的検証を行うことで、金融部門とマクロ経済との間の結びつきについて調べる.本研究の主な目的は、VXJ指数のような先行的な変動性指数が経済不確実性の信頼できる指数になること、これらの指数が金融の安定性をもたらす金融政策の形成にとって不可欠となることの新しい証拠を提供することである.Project-A-「国際金融システムと金融規制」、Project-B-「金融安定性・期待変動性と金融政策」とProject-C-「債務・金融市場とマクロ経済」の3つのプロジェクトから成り、1年目の平成24年度においては、計画通り研究を進めることができ、次の成果を得た. Pr()jeCt-A一では、国際金融システムの重要な部分として含まれるイスラム金融について理論および実証研究を行った.従来の銀行およびイスラム銀行の本質的相違と一般大衆の認識の分析結果について、国際学会(Muto,Maghrebi and Turkistani,GRM Annual Meeting,University of Cambridge,2012)で発表した.さらに、金利・債務よりリスクシシェアーリング・パートナーシップに基づいたイスラム金融取決めについて、住宅融資契約の理論モデル評価結果(Maghrebi.2012a,2012b)をINCEIF研究会およびIEI研究会において発表した.Project-B- において、金融が不安定な期間における期待変動性の形成メカニズムについて実証分析結果(Maghrebi,Holmes and Oya,2013)を査読付雑誌に投稿した。Project-C-では、経済景気循環局面の分析に適用する計量的推定モデルMarkov-regime-switching modelを用いて、経済変動・景気の低迷下における金融安定性と期待ボラティリティの行動変化についての分析結果(Nishina-Maghrebi-Holmes,RPBFMP,2012)を査読制付雑誌の論文として発表した.
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