研究課題/領域番号 |
24330104
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
仁科 一彦 明治学院大学, 経済学部, 教授 (30094311)
阿部 秀二郎 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (90292193)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 金融安定性 / 金融危機 / 国際金融市場 / ボラティリティ指数 / Volatility Expectations / Implied Volatility Index / VXJ index |
研究概要 |
本研究プログラムは金融規制、金融安定性および金融政策に関連する様々な問題を批判的・実証的観点から考察する、相補的な3つのプロジェクトから構成されている. まず、国際金融システムを形成する諸力について、増大する市場変動性に注目しながら規制的な観点から検討する. 次に、金融が不安定な期間における変動性の予想と金融政策の策定との間の関係について調査する. 最後に、実質利子率の非線形調節に対して実証的検証を行うことで、金融部門とマクロ経済との間の結びつきについて調べる. 本研究の主な目的は、VXJ指数のような先行的な変動性指数が経済不確実性の信頼できる指数になること、これらの指数が金融の安定性をもたらす金融政策の形成にとって不可欠となることの新しい証拠を提供することである. Project-A-「国際金融システムと金融規制」、Project-B-「金融安定性・期待変動性と金融政策」とProject-C-「債務・金融市場とマクロ経済」の3つのプロジェクトから成り、2年目の平成25年度においては、計画通り研究を進めることができ、次の成果を得た. Project-A-では、国際金融システムの重要な部分として含まれるイスラム金融について研究を行った. 金利・債務よりリスクシシェアーリング・パートナーシップに基づいたイスラム金融取決めについて、住宅融資契約の理論モデル評価結果をISRA International Journal of Islamic Finance査読付雑誌の論文として発表した(Maghrebi, 2014). Project-B-において、金融が不安定な期間における期待変動性の形成メカニズムについてEvent-Studyを用いて、実証分析を継続した. Project-C-では、経済景気循環局面の分析に適用する計量的推定モデルMarkov-regime-switching modelに基づいて、経済変動・金融安定性と期待ボラティリティの行動変化について、Applied Financial Economics 査読付雑誌の論文として発表した(Maghrebi, Holmes and Oya, 2014).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プログラムは研究期間3年間の平成25年度の2年目において、計画通り研究を進められた. 相補的な3つの研究プロジェクトによって国際金融システム・金融安定性と金融政策の関連についての更なる証拠が得られた. 国際金融システムにおけるイスラム金融の特徴についての理論分析結果、および経済景気循環・経済不確実の分析のため、金融政策の意思決定をする上で有用である先行的な金融市場変動性指数についての実証分析結果を国際学会、国際研究会において発表し、国際査読制付雑誌へ論文を投稿した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究プログラムの残存研究期間は1年であり、中旬の平成26年度において、計画通り研究を推進する予定である. プロジェクト-A の2年目での完成であるが、国際金融システムと金融規制について研究を続け、総合分析結果の整理と解釈を行う. プロジェクト-B は継続期間中であり、金融政策の方向性を金融市場に明示する指針・金融安定性・期待変動性について実証分析を継続予定である. 同様に、プロジェクト-Cにおいても、経済変動・経済不確実性と金融市場期待ボラティリティ指数についても計量経済分析を続ける行う予定である. また、研究成果を学会等における論文発表・レフリー制雑誌に投稿する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
経済・金融データベース使用料の高額化・計量経済ソフトウェーアーのアップデートに充てるために昨年度の使用額を圧縮した. 経済・金融データベースのライセンスの更新等に使用する予定である.
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